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資生堂、信州大学と共同で毛髪フィルム化技術を用いた 高感度な毛髪ダメージ測定法を開発(2009/1/19)
資生堂は、信州大学繊維学部応用生物系の藤井敏弘教授と共同で、毛髪のフィルム化技術を用いた毛髪ダメージの高感度な測定法の開発に成功しました。この測定法を用いることで、従来の測定では検出できなかった生活紫外線などによる1日の軽微な毛髪ダメージを簡便かつ高精度に検出・定量化できるようになり、生活紫外線による毛髪ダメージを予防する新規ヘアケア製剤の開発への応用が可能となりました。
今後資生堂では、本測定法を各種ヘアケア商品の開発に活用するとともに、紫外線に限らず様々な毛髪ダメージを計測する技術として、幅広く展開していきます。
毛髪ダメージの特徴と従来の測定技術
毛髪では、ダメージを感覚的な痛みとして感じることができないため、1日に受けるわずかな毛髪のダメージは多くの場合見過ごされています。本来、毛髪はダメージに強い頑丈な構造ですが、ダメージが長期間にわたって毛髪へと蓄積されることにより、見た目や指先でも実感できる大きなダメージ(つやの低下・ぱさつき・枝毛・切毛など)へと変化します。現在のヘアケア製品は、このような蓄積したダメージを補修し、健康な状態に近づけるダメージケアが主流となっています。
資生堂では、お客さまの美しい髪を維持・持続させるためには、従来の毛髪補修を中心としたダメージケアに加えて、毎日の生活における毛髪へのダメージ(特に生活紫外線ダメージ)をプロテクトし、毛髪にダメージを蓄積させないことが重要であると考え、毎日起こっている“見えないダメージ”の測定技術の開発に取り組みました。
毛髪は痛みを伴わず簡単に採取でき、また採取後の毛髪でも経年劣化しにくいため、研究のための各種処理が可能な生体材料です。そのため従来から毛髪ダメージの測定やヘアケア製品のダメージ補修効果の測定には、採取した毛髪の物理的な特性(※1)の変化を計測する機器が用いられています。これらの機器は、毛髪の物理特性が変化するような大きなダメージの検出・定量化には適しているものの、顕著な毛髪の物性変化を伴わない1日の生活紫外線(※2)などによる軽微な毛髪ダメージの計測には適していませんでした。また、毛髪は同一の人から採取したものでも太さのばらつきが大きく、測定に使用する毛髪の部分(根元~毛先)によってダメージ履歴も異なることから、機器測定してもデータのばらつきが発生し、それを解消するには毛髪サンプル数の増加など多大な労力と時間が必要となることも課題でした。
※1 物理的な特性:つや・毛髪表面の摩擦・引っ張ったり、曲げた時の毛髪強度など
※2 1日の生活紫外線:良く晴れた真夏の正午付近に30分程度外出した時の紫外線量を想定
高感度な毛髪ダメージ測定法の開発
資生堂は、ダメージを受けた毛髪は、物理特性の変化として引っ張ったときや曲げたときの毛髪の強度が弱くなるという実際のダメージが現象として現れるより前に、初期変化として毛髪のタンパク質が酸化(※3)されることを発見しました。さらにこの酸化されたタンパク質を蛍光標識(マーカー)する手法を確立した結果、従来までの“見えないダメージ”を蛍光顕微鏡で可視化することに成功しました。
また、もうひとつの課題であった毛髪の個体差やダメージ履歴のばらつきの問題を解消するために、信州大学繊維学部応用生物系の藤井敏弘教授が資源リサイクル技術の一環として開発した「廃棄物としての毛髪をフィルム化する技術」に着目し、藤井教授と共同で、毛髪の特性を維持しつつ個体差・ダメージ履歴を均一化し、わずかなダメージも検出することができる「毛髪タンパクフィルム」を開発しました。
これらの毛髪ダメージの可視化技術と毛髪タンパクフィルム化技術を融合させることにより、従来の計測法では“見えないダメージ”とされていた1日の生活紫外線によるダメージを高精度かつ簡便に検出・定量化することが初めて可能になりました。この手法の開発により、1日の生活紫外線でも毛髪がダメージを受けていることだけではなく、これまで知られていたUV-BのみならずUV-Aも毛髪へダメージを与える(※4)という重要な知見を見出しました。
資生堂では、お客さまの願いである「美しい髪の維持」を実現するために、従来のダメージケアに加えて、生活紫外線防御を中心とした毎日のダメージプロテクトをヘアケアにおける重要な柱の1つと位置づけ、この測定技術を活用しヘアケア商品の開発をしていきます。
なお、藤井教授との共同研究は、文部科学省の「長野県全域知的クラスター創成事業(第Ⅱ期)」(※5)の一環として実施されたものです。
※3 タンパク質の酸化:タンパク質の分子構造内にカルボニル基が形成されること
※4 地上に届く紫外線(UV)にはUV-A波・UV-B波の2種類あり、一般的にUV-Bが肌や毛髪へダメージを与えるとされているが、本研究によりUV-Aも毛髪にダメージを与えることが確認された。
※5 長野県全域知的クラスター創成事業(第Ⅱ期)は文部科学省の委託事業として採択された、長野県全域でのクラスター構想に基づき、産学官連携により共同研究開発に取り組む事業。
(関連学会発表)
(1)ケラチンフィルムを用いた紫外線照射毛髪の酸化度定量法(2008) 第57回高分子学会年次大会(横浜)
(2) ケラチンフィルムを用いた紫外線照射による毛髪酸化度定量法(2008) 日本化粧品技術者会 第62回研究討論会(大阪)
(3)ヒト毛髪由来のケラチンフィルムへのブリーチ処理の影響(2008) 第10回日本感性工学会大会(東京)
(4) 発表タイトル未定(2009) 第18回IFSCCメルボルン中間大会(オーストラリア)
http://www.shiseido.co.jp/releimg/1609-j.pdf