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2022/03/24


クラフト(調剤薬局「さくら薬局」)が事業再生ADRを申請。

2020年3月期 売上高約1937億円
2021年3月期 売上高約1239億円 と698億円の減収。
グループの金融債務は1000億円規模

上場廃止した調剤薬局「さくら薬局」は、株主の顔色を伺わなくてもいい事業ができるようになりました。思い切ったM&A戦略を展開して店舗数を270店(2007年12月時点)から全国1002店舗(直営店618店舗)まで拡大。
M&Aに伴う資金需要を満たすため金融機関から約500億円を調達。その結果、87億円(08年3月期末)だった有利子負債が1000億円規模まで膨らみました。
対象債権者はメインバンクの三井住友銀行を筆頭に80社前後に膨らみ、これら借入金返済が経営の重荷になったようです。

クラフトは買収した薬局の調剤報酬債権を担保に次の買収資金を借りるという自転車操業を繰り返しており、それがコロナ禍で行き詰まりました。
「新型コロナウイルス」による医療機関の受診が減少。医療機関の受診が減れば受取り処方箋も減少します。調剤報酬(受取処方箋)が落ち込むことで資金繰りが悪化。さらにリファイナンス(借り換え)も進まず、クラフトは2月28日に事業再生ADRを申請しました。
対象債権者のうち1社でも合意が得られなければ法的手続き(民事再生法)に移行する可能性もあります。

関係者は、コロナ禍がおさまればキャッシュフローは十分に出る。返済負担が緩和すればやっていけるのではないかとみています。
今回の事例は、病院・診療所の前で患者を待ち構える調剤薬局のビジネスモデルが崩れたことを示します。
専門家はコロナ禍が落ち着けば業績が回復するとみていますが、リフィル処方箋が順調に推移すれば、処方箋は最大で3分の1に減少します。小規模病院を対象とする門前・マンツーマン薬局は、コロナ禍から立ち直っても厳しさが残りそうです。

事業再生ADR
https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/adr/jigyousaiseiadr_gaiyo_R2.pdf


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