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2020/03/10


医薬品業界 医療機関とフォーミュラリー

医薬品に求められる有効性と安全性。そして医療費の削減を目的にした経済性も求められます。
有効性・安全性・経済性が同等かそれ以上であればジェネリック医薬品を積極的に使用しようという流れがあります。
医薬品選択には正確なデータが必要ですが、院内フォーミュラリーを実施している医療施設は一部に限られているようです。
病院薬剤部は、センター業務や病棟業務に専念しているため、負担を強いる院内フォーミュラリーの実現が難しいのかもしれません。院内フォーミュラリーに報酬がつけば導入速度が早まると考えられます。

○後発医薬品使用拡大につながる?
 院内フォーミュラリー
 院内フォーミュラリーとは、有効性、安全性および経済性を考慮した医薬品の使用指針です。厚生労働省は、ジェネリック医薬品の情報提供を、すべて薬剤部が担当すべきと考えています。
 また、フォーミュラリー作成は、臨床情報をベースにデータの評価能力が必要です。安全性と有効性を考慮しながら経済性を併せて考慮するなど、薬剤師が薬物療法の専門家として力を発揮することが必要でしょう。

○院内フォーミュラリーの導入は前向き
 フォーミュラリーの扱いは、診料報酬改定の場で検討項目に上がったといいます。厚生労働省は、フォーミュラリーについて安全性が高い薬物療法を実施するため薬剤師の職能を活用すべきとしています。フォーミュラリーについては診療側、支払側の両方が必要としましたが、院内フォーミュラリーを実践している医療機関が少ないことや薬剤師の業務に含まれると報酬への反映は否定的だったようです。
 医療AIが進展してフォーミュラリーが標準化することを考えれば、当然かも知れません。

○「専門用語」「略語」で指示してもAIは正確に入力
 医療AIの実用化が医師や看護師の負担軽減につながると考えられます。医師は、診察よりもカルテ入力に多くの時間を必要とします。AIによる電子カルテの音声入力を実現した病院もあり、AIによるフォーミュラリーが実現すれば、医師の働き方改革が進みます。同時に国民医療費の削減にもつながる可能性があります。
 地域包括ケアシステム時代の薬剤師は、ポリファーマシーの取り組みや、入退院時の薬物療法への介入、患者への薬物療法に関する情報提供にかかわることが考えられています。
 とくに入院時の持参薬確認は、ポリファーマシー対策、減薬につながります。認知症に似た症状の改善や医療費削減につながると高い評価があります。

○「労働省0402通知」で薬剤師の業務に変化
 「改正医薬品医療機器等法案(薬機法改正案)」が2019年11月27日に参院本会議で成立しました。また4月2日に「厚労省0402通知」が発せられています。とくに「0402通知」は、調剤薬局の業務を「対物(薬)」から「対人」へ、そして「非薬剤師の調剤を一部認める」という内容を含んでいます。
 病院の中には、物品管理のSPDを利用して外部業者の輸液準備などの支援を受けてきました。多くの病院は各職の定員があり薬剤師を増やすことが難しいといいます。非薬剤師が導入できれば、病院薬剤師の働き方改革にもつながりそうです。

就活事典65Pより


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