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2020/03/06


医薬品業界 病院薬剤師2 AI

IT技術の進化は、産業構造も変えようとしています。
例えば銀行の存在です。WEB上で支払いや国際送金が可能になるかも知れない時代です。実現すれば、銀行の役割が大きく低下します。総合大学の中には、銀行就職者数を学部間で競うところもありますが、大学の評価も分かれる時代になってきました。

中でもAIの進化はめざましいものがあります。銀行では、AIの導入で人員を絞り込んでいるといいます。
また医薬品研究・開発、そして臨床、患者の治療でも貢献しようとしています。AIが診断や治療、処方せん作成に関わることで医師の働き方改革に直結し、患者の利益になっていくのではないでしょうか。

○医療AIは、医師の活動を支援し患者の利益になる
コンピュータの性能が向上したことにより、コンピュータの機械学習法である「ディープラーニング(深層学習)」が目覚ましく発展。その恩恵を受けているのが画像診断分野です。がんであれば、レントゲン、CTなどの画像から、がん組織の存在を確認します。
現在のAIは特定分野で人間の活動を支援するレベルですが、人間の脳神経回路のような情報処理でコンピューター自らが学習するのは画期的といえます。

○国家プロジェクト「AIホスピタル計画」
「AIホスピタル計画」が進められています。医療ビックデータを使って医療サービスを提供する国家プロジェクトです。
「AIホスピタル計画」は、患者の画像診断結果、バイタルサイン、生活情報をもとにした治療支援をめざします。疾患を早期発見し、適切な治療方法や治療薬を選択します。
ネックとなっているのが情報不足といいます。患者個人のデータや病院の医療情報は蓄積されているものの、その情報を解析・活用するまでにはいたらないというのです。

○医療AIが処方せんにも関与する
世界中で発表される医学論文は1日に数千件といいます。新しい日に学術論報がその後の医療を変えるといわれ、そんな情報が毎日蓄積されています。
医師が膨大な論文から専門領域の情報に目を通すのは不可能です。これはAIが得意とする作業ですから、症例に関係する文献探索は機械に任せることになります。
探すだけでなく、解析して治療法や治療薬を医師に提示します。また、最も高い効果が期待できる医薬品を選択し、効果の薄い医薬品の使用を避けるようになるでしょう。

○AIと薬剤師。それぞれの得意を生かして患者の治療に貢献
処方された医薬品の鑑別は薬剤師の仕事です。医薬品が患者の体質に合わなかったり、薬を変える、また投与量を変更するかも知れません。AIは、それを学習してますます賢くなっていきます。
医療AIは、標準化をめざしていますが、病院にはがん専門病院があれば循環器や感染症を専門とする病院もあります。AIが最新の論文から最適な薬を選択しても、未承認の薬かも知れません。その調整を行うのが薬剤師でしょう。
医療AIを自身の病院にマッチングするカスタマイズを担当したり、病院が採用する医薬品の情報入力や更新、患者の服薬情報をまとめるのは薬剤師。患者に対する服薬指導や病棟活動はAIより薬剤師が優れています。それぞれの強みを発揮して治療に貢献するのではないでしょうか。

就活事典65Pより

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