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2020/03/03


医薬品業界の今後 製薬企業編 2

前回は、新薬不足について紹介しました。今回は、新薬開発の動きについて紹介します。

●アカデミアとの共同研究
かつての創薬研究は、効果がありそうな物質が見つかれば何に効くかを検討して新薬につないでいました。次第に、ターゲット(標的)を狙った創薬研究が行われるようになりましたが、それらを会社が単独で研究を行うのが基本でした。しかし独自の研究部隊では結果を出すことが難しくなっています。
一方、大学や研究機関には研究成果(ライブラリ)が眠っています。それらの知財をTLOを通じて企業に提供してきましたが、最近では共同研究を行うまでになってきました。
2019年には、大学教授や准教授が大学に籍を残したまま製薬会社が雇用して、自社の研究を担当してもらうという人材交流もおきています。
一つの医薬品を研究・開発するコストが高騰するなかで、大学の研究室や研究機関に眠るシーズの有効活用が求められています。 
 
●AIと創薬研究・臨床開発・MR活動
低分子化合物は安価で大量生産が可能ですが、成功確率が低いのが欠点です。
一方でバイオ医薬品の創薬は、生物系特有のブラックボックスの存在があり解明が困難です。
それらを解決するのはAIかも知れません。創薬研究にAIが使われ、臨床開発で、MRのディテーリング活動でも、そして人事の採用活動にも採用されています。AIが経験や知識の蓄積をすすめることで、創薬・開発に大きく貢献することが考えられます。

●構造改革に向けた製薬業界各社
製薬業界だけでなく、医療機関・調剤薬局を含む厚生労働省の管理下にある業界は政策で業績が左右されます。その中で生き残りから企業拡大に向けた取り組みを進めています。
他業種に進出する企業もありますが、気になるのは本業である医薬品。選択と集中、海外展開、ベンチャー企業との連携などが進んでいます。
創薬や導入、パイプライン、そして今後の経営指針、長期計画などの具体的な内容を確認したいところです。
合同会社説明会などで質問の機会があれば、各社の将来構想について聞いてみるといいでしょう。

●売上重視の体質から利益確保に
業界は売上げを重視してきました。売上上位のランクが就職活動を行う学生にとっても評価のポイントです。しかし売上高はあっても、利益が残らなければ企業活動は継続しません。利益確保の動きも見逃せません。
各社の動きの中に希望退職者募集によるMRの削減があげられます。
ー略ー
各社は構造改革を進め、IcTやAIの活用など大きく変革しています。製薬業界は、これからも医療界に貢献していくことに変化はありません。

就活事典40P-41Pより

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