医薬分野の研究職・開発職

国際化する日本の製薬企業

 日本の製薬会社の海外展開が進んでいる。そして海外市場で通用する医薬品を持つ会社は売上げ(業績)を伸ばしている。一方国では、薬価の改定を2年ごとに行い、「0」改定、あるいはマイナス改定が行われてきた。そのため、国内市場を主力とする製薬企業には厳しい経営環境になっている。そのような状況下でも国際化している企業は海外の売上げが貢献して業績を支えている。海外で上市することができるのは、製品が優れているということ。海外の医療機関で認められる医薬品を開発できる研究力・開発力をもつ会社が勝ち抜いていく。


将来性をチェック

 製薬企業の将来性を占うとき、一般的には投資する研究開発費で見ることが多い。
 画期的な新薬を創出する研究・開発力は大切なポイントだ。
 海外で評価される優れた製品をもっていることも重要なチェックポイント。
 研究・開発中の薬剤のテーマなどもみたい。「開発中の薬に新規性があるか」、「市場性はどうか」。いくつかのチェックポイントをたててみるといい。
 現在、新薬としてヒットしている医薬品は、10年から15年も前に見い出されたものなのである。ということは、現在は低迷していても、5年後、10年後に新薬上市の期待がもてる会社は将来性がある。

医薬分野の研究職・開発職をめざす

 薬学部で専門の勉強をしたから製薬企業で研究・開発ができると考えるのは早計。薬学部に限らず研究職は、応募基準を修士課程以上としている場合がほとんど。研究・開発職をめざすなら、大学院進学を考えたい。
 戦後の創薬研究を支えてきたのは農学部・農芸化学の出身者だ。現在でも、それら学部の出身者が研究職として活動したり、管理者として経営に参加している。創薬研究は、農学部をはじめ理学部・理工学部、生命工学部、生命理工学部などの生命科学系学部の出身者のターゲツト職種でもある。


■研究職

研究力がある会社には将来性がある

製薬企業の将来性を見るのであれば、研究・開発力がポイントになる。研究・開発が熱心な企業、新薬上市を待つパイプライン(新薬候補)が充実している企業はおすすめ。研究開発費から判断してもいい。中堅企業でも、研究活動を重視している会社もあるので、自分がやりたい研究ができそうな会社ならチャレンジしてもいいのではないだろうか。
 経営陣に「新薬創出が会社の目標」というビジョンがある会社は世界に通用する医療品を出す可能性がある。


企業規模が大きい兼業製薬メーカー

 製薬以外に主力事業をもつ兼業メーカーは、本業の技術が活せる強みがある。戦後の混乱期に本業の技術力を活かしてペニシリンの製造を行った会社がいくつもあった。この時に医薬品分野に進出した会社が多く、製薬専業メーカーよりも企業規模が大きい会社が多い。兼業製薬メーカーは、研究開発に資本を投入できる体力がある。


先発医薬品と同成分同効果の医薬品

 ジェネリック医薬品がこれまでになく注目されている。医療費の包括支払制度(DPC)や自己負担増など、医療を取り巻く環境が変化しているからだ。行政も医療費改正ののためジェネリック医薬品の使用をすすめる。ジェネリック薬を使うと診療報酬が加算される。
 臨床では医薬品のエビデンスが重視される。ジェネリック薬(後発品)は、先発品と同成分であれば承認を得ることができる。新薬開発は臨床開発を行うため、巨大資本が必要になる。しかしジェネリック薬は、臨床開発を行うことなく製品化できるため価格を抑えることができるのである。


先発医薬品と後発医薬品の違いはあるか

 後発医薬品は、製剤研究、溶出性試験、安全性試験、生物学的同等性試験を行うだけで承認許可申請し、認められれば市場に出てくる。しかし、同じ成分をもっていても、全ての特許が切れたわけではないので添加物などが異なる場合が多い。添加物が違えばアレルギーの問題があるし、結晶多形が生じれば効き目にも影響する。
 先発品は溶出試験などで加速度試験を行い最良と考える製剤を選定している。後発品が同様の製剤を選択していれば同成分による同効果が期待できるはず。
 データに裏付けられたエビデンスを持たないことが後発医薬品メーカーの弱点といわれる。ところが海外の後発医薬品大手が日本法人を設立したり、先発医薬品メーカーにも後発医薬品に参入する会社がある。データを収集してエビデンスを確立する会社もあり、後発医薬品の信頼性が増せば臨床の使用が伸びるだろう。ジェネリックは、国の医療費政策にもマッチして追風となっている。



■業界団体


■研究職・臨床開発職の就活

研究職の就活

 研究職といっても、研究分野は多岐にわたる。
 しかも研究職の採用数は一般的に少ない。大手製薬企業でも、100人規模の採用を行う会社があったり、30人程度の採用という会社もある。
 研究職を目指す皆さんはしっかりとした企業研究はもちろん、先輩のアドバイスなどを参考にしたい。

臨床開発職の就活

 臨床開発職の採用は新薬候補となる薬が開発段階に進んで、モニターなどのスタッフが必要になって採用が行われる。
 開発職のモニター職は、医療施設に赴き治験参加患者のカルテと症例報告照合。さらに対象の患者さんに治療薬のほかにお薬を投与する場合、投与するお薬が治験に影響を与えないかなど問合せに答える。医師とのコミュニケーションや治験薬を管理する薬剤部、CRCとの連絡も多い。
 開発職を採用する企業は新薬を作り続ける将来性のある会社とも言えるだろう。


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