ベストを尽くせばチャンスがくる


新しい年になりいよいよ本格的な就職活動、就活が始まる。昨年10月に経団連は、2021年入社から就活ルールを撤廃することを公表したので、経団連の就活ルールは今年が最後となる。今後も何らかの指針が必要であるとの大学側からの要請により、政府主導で新指針が協議で決定されることになるが、2021年入社は現行の就活ルールと同様、3月から説明会、6月から選考で行われる可能性が高い。このようなルールではあるが、実際にはインターンシップは7月頃から開催されており、多くの企業が選考に結び付つけていることは否めない。

では薬剤師の資格が取れる6年制の薬学生の場合はどうなのか。基本的には就活ルールを踏襲しているが、実際には病院・薬局・企業でルールはそれぞれ異なる。病院は欠員補充程度の採用数であることから、薬局や企業に比べ選考が遅く、短期間で終わることが多い。薬局は企業とスタートは同様であるが、採用数が多い薬局は長期間にわたる。企業は、治験関連企業のスタートは早く、製薬企業は、お盆前には選考が終了するところもある。だが辞退者がある場合には夏休み明けまで続く。とくに、病院の就活ルールは、他とは異なるので注意が必要である。

しかし、一番の問題は、5年次の実務実習が今年度から3期制が4期制になり、病院・薬局の実務実習を連続して行わなければならないことである。そのため、多くの薬学生がインターンシッップや、学内外の就職活動イベントに自由に参加できない。採用側も、事情を考慮して休日に開催しているが、働き方改革により休日出勤が制限され、また担当者の削減などもあり、休日のインターンシップや会社説明会を縮小せざるをえない企業もでてきている。薬学生の就活はこのような厳しい状況で行わねばならない。

いずれにしても、これからの6カ月余りの就活期間は、人生の中での大きな転機となり、自身の成長にもつながる。どのように過ごすかで人生が大きく変わるかも知れないので、真剣に取り組んで欲しい。
「どんな状況でもベストを尽くせばチャンスがくる」。テニス全豪オープンで優勝、世界ランキング1位になった大坂なおみ選手の勝利の言葉である。
それは、薬学生の就活にも当てはまる。


斎藤由紀夫(さいとう ゆきお)
薬系キャリアコンサルタント
外資系製薬企業でMR、宣伝企画、教育・研修、プロダクトマネージャー、ヘルスケア、人事採用部門を歴任する。
その後大学院心理学研究科入学、修了後薬科大学に入職、キャリアセンター長としてキャリア・就職支援に携わる。
2015年に合同会社キャリアパフォーマンスを設立、イベント企画や研究会開催、講演、執筆などの活動を行っている。

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