京都府DMAT
厚生労働省DMAT
●DMATを目指すきっかけはありましたか?
学生時代に東日本大震災があり、震災から約1年後、被災地を訪問しました。災害現場を目の当たりにして、災害に係ることができる医療従事者になりたいと思いました。運良く災害拠点病院に指定されている京都府立医科大学附属病院に入職できました。入職後、薬剤部長から「こんな研修があるよ」とDMAT(災害派遣医療チーム)を教えていただき、研修に参加。
熊本地震が発生した時は、まだ研修の受講前でした。現在は京都府と厚生労働省のDMAT隊員となり、何かあればいつでも手をあげたいと思います。
●DMATについて教えてください。
阪神大震災をきっかけに導入された災害派遣医療チームをいいます。厚生労働省による日本DMATと都道府県設置のDMATがあり、私は厚生労働省と京都府のDMAT隊員です。DMATの認定は、受けた後の訓練の方が大変です。訓練で病院を留守にすることが多く、薬剤部の協力もあり、訓練に参加させていただいています。
DMAT隊員の訓練は、医師・看護師・事務スタッフと5人でチームを編成して医療職の垣根を超えた活動を行います。
DMATの目標に「災害地で傷病者を救う」があります。他の医療職と一緒に目標に向かって取り組むことができるやりがいを感じます。
当院は、原子力災害の拠点病院に指定されています。最近行った訓練では、原子力災害が生じたときの傷病者の受け入れに関する訓練を受けました。
また別の訓練では、大阪の直下型地震を想定して、大阪の拠点病院における拠点化受け入れに必要な資材の依頼、調節の訓練を行いました。さらに土砂災害で被災者を救い出す訓練など様々な災害を想定した訓練が組まれます。
訓練終了後は、何もできなかったと反省することも多いですが、その分、得るものも多いです。様々な災害を想定した訓練が、実際に災害現場に立ったときに役立つでしょう。災害現場で迷うことなく行動するため、繰り返し行われる訓練に参加することが大切だと思います。
●高校生の皆さんにコメントをお願いします。
病院薬剤師は、認定薬剤師や専門薬剤師などいろいろな角度から医療に関わることができます。私の日常の業務は、ICU(集中治療室)勤務や感染制御です。薬剤師は、それぞれの領域で専門性が求められる業務を担当しています。6年間、薬学部で学んだ知識を患者さんのために活かしてください。人の命を救うというやりがいがある世界で頑張ってほしいと思います。