診察前診断で得た情報が
患者さんの治療に役立つ
●病院薬剤師になられたのは?
星薬科大学を卒業後、大学院に進学したのですが中退して厚生労働省に入省しました。 厚生労働省では、行政職となり感染症対策、輸入食品の監視業務などの仕事をしました。その後、地元・埼玉に戻って公立病院の薬剤師を経験。さらに明治薬科大学の大学院(社会人大学院)に進学して医療薬学を専攻しました。大学院修了後、防衛医科大学校病院に入職して現在に至っています。●仕事の内容を教えてください。
現在は、腫瘍化学療法部を担当しています。当院では、外来で抗がん剤の注射薬を投与する場合は腫瘍化学療法部で行っています。そのため多くの時間は外来診察室にある外来ブースにいます。ここでがん外来に来られる患者さんのほぼ全員に診察前面談を行なっています。医師が診断察する前に薬剤師がバイタルやご自宅の状況、抗がん剤投与の流れ、副作用などの話をさせていただきます。面談の中で副作用が確認できれば、「この患者さんは副作用が生じています。対処をお願いします」と伝え、処方の提案をさせていただいています。
外来の先生から「ここまで薬剤師さんが聞かれているのであれば、これ以上聞くことはないね」と言ってくださる先生もおられます。嬉しいことです。また外来ブースは診察室のそばに設置されています。そのためお薬の確認が必要な時は先生方が「矢島さんいる?」と来られます。私が病棟での服薬指導で不在の時は電話で抗がん剤などお薬に関する問い合わせをいただきます。日々の積み重ねが先生方との信頼関係の構築につながっていると感じます。薬剤師には、お薬に関する専門性が求められています。同時に幅広い知識も必要ですから勉強は欠かせません。
ジェネラリストであり、スペシャリストであることが求められているわけです。それらの知識は、自己研鑽はもちろんですが、医師、看護師、そして多くの患者さんから教えていただいており、次の治療に必ず役立っています。
●高校生の皆さんにコメントをお願いします。
薬剤師をはじめ医療従事者の知識と経験が患者さんのためになることが認められています。医師をはじめ薬剤師、看護師などの各職種がチーム医療に貢献しているのです。薬剤師は、病院、薬局をはじめ企業の研究、営業、行政など色々なことができ、日々進歩しているので毎日が新鮮です。そしてやりがいのある仕事です。皆さんもぜひ薬学部に入学されて、薬剤師になっていただきたいと思います。