京都府立医科大学附属病院 薬剤部 大井 知香子さん


日本糖尿病学会 糖尿病療養指導士
日本くすりと糖尿病学会
糖尿病準薬物療法認定薬剤師


●お仕事の様子を教えてください。

 私は薬学部を卒業後、民間(市中)の病院に就職し、その後現在の病院に転職しました。
 基本的な薬剤師の仕事は同じです。しかし大学病院は、市中病院からの紹介状を持った患者さんが受診されますので重症度が高くなり、専門的な知識が求められます。
 最近の話題としては、がん治療で入院された患者さんが抗がん剤の副作用でI型糖尿病を発症されるケースがあります。免疫チェックポイント阻害薬の治療でごく稀に現れる副作用ですが、患者さんにとっては納得できません。そこで医師から「説得してください」との要請があり患者さんのもとに伺って説明します。
 インスリン注射を受けていただけなければ生命に関わりますが、一生付き合っていかなければならない病気。なかなか納得してもらえません。それでも患者さんの理解度に合わせて糖尿病の専門的なお話をさせていただきます。糖尿病は、合併症や人工透析などの心配もありますので、入院中に正しい知識をもっていただく指導と精神的なフォローも大切と考えています。

●資格を目指す動機となったものは?

 学生時代は、試験を受けるための勉強でした。今、自分の力を試すために資格を取得したい、患者さんのためになる仕事をするための資格取得と考えています。資格があれば、もっと専門的な力をつけられます。資格を取得し、維持していくことが大切と考えています。
 全ての病棟に糖尿病の患者さんがおられ、膠原病や循環器など特殊な病態の患者さんも入院されます。当院はがんの患者さんが多いので、がんに関する資格も取得したいと考えて勉強中です。
 また糖尿病準薬物療法認定薬剤師もさらに上の資格に挑戦したいと考えています。
 当院にはFUTABAという糖尿病チームがあり、医師や看護師、コ・メディカルスタッフが一緒に活動しています。日々の服薬指導は病棟専任の薬剤師が担当し、カンファレンスを糖尿病チームが開きます。難しい治療が求められる患者さんについては毎週カンファレンスを開きます。
 「薬を変えてください」「薬の量を減らしてください」などの薬学的な治療方針は、私から発言させていただいています。

●高校生の皆さんにコメントをお願いします。

 病院薬剤師は、患者さんに対して行なったことが評価され、感謝されることが多い仕事です。また医師、看護師からも評価され、それを肌で感じることができます。
 大学で「皆さんは、これからプロフェッショナルになります…」という言葉を聞きました。プロとは何かを今考えると、薬剤師は楽な仕事ではありませんが患者さんの生死に関わることができる仕事です。頑張れば、いろんなところから返ってくるやり甲斐のある職業です。頑張って薬学部に入学してください。

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