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(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構

(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構のホームページへ
タンパク質の機能を光で制御する汎用的な技術の開発に成功 ―医薬品候補物質の探索法としての応用を可能に―(2010/2/18)
NEDOの産業技術研究助成事業の一環として、東京大学大学院薬学系研究科特任准教授 加藤 大らは、ゲルを用いて安定に保存したタンパク質が機能を発現する“場所”、“時間”、“強さ”を光によって制御する技術を開発しました。この技術により、タンパク質をはじめとする、様々な物質の機能を光で制御することが可能になります。
この技術を用いて、メタボリックシンドロームに関連する動脈硬化症の疾患タンパク質を固定化し、光照射前後で疾患タンパク質の濃度を変化させて健常状態/疾患状態のモデルを創り出すことに成功し、それに対応した医薬品の候補物質の探索が可能であることを示しました。この技術開発により、今後の医薬品開発の迅速化が期待されます。
この成果は、2月15日付のアメリカ化学会の科学雑誌アナリティカルケミストリー(注1)(電子版)にAccelerated Article(注2)として掲載されました。
https://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/press/CA/nedopressplace.2008-11-26.1174332432/nedopress.2010-02-17.7911166826/

アミロイドβ (1-38) 測定ELISA キット販売開始のお知らせ(2009/12/9)
当社は、本日、アルツハイマー型認知症(以下「AD」)に関連するアミロイドβ (1-38) (以下「Aβ (1-38)」)測定ELISAキット試薬の販売を開始いたしますので、お知らせいたします。
【概要】
AD は、認知機能の障害を主症状とする脳の神経疾患です。全世界でAD に苦しむ人は約1800万人とされ、その数は高齢化が進むにつれ増加しており、大きな社会的な問題として取り上げられています。AD の特徴の一つに、神経細胞表面への老人斑の沈着が見られます。この老人斑の主な成分は、アミロイドβ (1-42) (以下「Aβ (1-42)」)と呼ばれる不溶性タンパク質の凝集であり、この凝集による老人斑の沈着が起こると神経細胞死が急速に広がるため、AD の成因に深く関わると考えられています。
近年、解熱や鎮痛のために使われるジクロフェナクナトリウムや、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬((以下「NSAIDs」)を長期間服用している人では、非服用者と比べてAD の発病率が著しく少ないとの多くの報告があります。その原因として、NSAIDs 服用により不溶性のAβ (1-42)が切断され水溶性のAβ (1-38)へと変化し、結果として凝集が減少するためと考察されております。
これらの事から、AD に対する新たな医薬品開発に向けた研究の展開に、Aβ (1-42)ばかりでなくAβ (1-38)をそれぞれ特異的に定量出来るキット試薬が広く求められておりました。当社では既にAβ (1-42)を特異的に測定出来るキット等、多数のAD 研究支援試薬の開発および販売を行っておりますが、今般のAβ (1-38)測定ELISA キットの販売開始は、新たな要望に応えるものです。
なお、本製品は、独立行政法人 新エネルギー 産業技術総合開発機構(NEDO) 委託事業である、基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発/橋渡し促進技術開発「アルツハイマー病総合診断体系実用化プロジェクト:根本治療の実現に向けて」の研究成果の一部です。
製品情報
製品番号:27717 製品名:Human Amyloidβ (1-38) (FL) Assay Kit - IBL
容量:96 ウエル 価格:120,000 円
http://www.ibl-japan.co.jp/news_img/prerelease_20091209.pdf

当社開発品SyB-0702(HSP32阻害剤)がNEDOの開発助成事業に採択される(2009/8/18)
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募していたイノベーション推進事業のうち研究開発型ベンチャー技術開発助成事業において、当社の『ナノテクノロジーによるHSP32 を標的とした抗がん剤の開発』が採択されましたので、お知らせいたします。
近年、腫瘍細胞特異的に発現する自然死(アポトーシス)抑制因子であるHSP32 によって、腫瘍細胞が保護されアポトーシスを免れていることが分かってきました。今回、弊社が応募したプロジェクトの内容は、ナノテクノロジーにより腫瘍集積性を高めたHSP32 の阻害剤PEG-ZnPP について、その有用性を非臨床試験で明らかにし、腫瘍特異的で安全性の高い抗腫瘍剤としてヒトでの臨床応用に結び付けようというものです。本事業は2007 年8 月より崇城大学薬学部 前田浩教授との協力の下で進めてまいりましたが、NEDO からの助成金を有効活用することによって、今後、非臨床試験を加速させ、早期に臨床試験を開始できる体制を整えます。
≪PEG-ZnPP≫
PEG-ZnPP は崇城大学薬学部、前田浩教授らによって創製された腫瘍特異性の高い抗がん作用物質です。
前田教授らはがん細胞が活性酸素による酸化攻撃から自らを防御するために高発現している熱たん白32(HSP32)に着目し、亜鉛化プロトポルフィリン(ZnPP)が、HSP32 の活性を強力に阻害することを見出しました。更にナノテクノロジーを用いてZnPP をポリエチレングリコール化することで水溶性を増すとともに高分子化し、これが腫瘍組織へ選択的に分布滞留する現象、いわゆるEPR 効果を有することを明らかにしました。ウィーン大学のPeter Valent教授らは、ヒト腫瘍細胞を用いたインビトロの実験で、本剤が急性リンパ性白血病(ALL)細胞、急性骨髄性白血病(AML)細胞のみならず、イマチニブ耐性慢性骨髄性白血病(CML)細胞や現在有効な治療法がないT315I 陽性CML 対しても感受性細胞と同程度の細胞増殖抑制作用を示すことを見出しています。
HSP32 は血液がんだけではなく、固形がんにも幅広く特異的に分布しており、固形がんに対しても腫瘍選択性の高い抗がん剤として期待されます。本剤は単独で抗がん作用を発揮しますが、他の抗がん剤と併用することにより、相加的、相乗的に抗がん作用が増強されることも報告されています。
http://www.symbiopharma.com/news/090818.pdf

「基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発/橋渡し促進技術開発」平成20年度追加公募に係る委託先の決定について(2008/10/22)
公募概要
状況 決定
事業内容  研究(委託、共同研究、助成)
対象者   企業(団体等を含む)
        大学・独立行政法人等(国立大学法人含む)
技術分野  バイオテクノロジー・医療技術分野
テ ー マ  公募型事業
プロジェクトコード P07022
担 当 部 バイオテクノロジー・医療技術開発部

公募内容
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO技術開発機構」という)は、平成19年度から実施している「基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発/橋渡し促進技術開発」について、平成20年度から追加し、新たに開始する提案(8件)を決定しました。
平成20年6月6日から平成20年7月8日の公募期間に応募された88件について、外部有識者による書面審査ならびに採択審査委員会における厳正な審査の結果、8件の提案を採択することと決定しました。採択テーマ一覧及び審査委員名簿は<別添1、2>のとおりです。
     
       記

1.件名
平成20年度「基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発/橋渡し促進技術開発」
2.事業の目的、概要
近年、少子高齢化が進む中、がん、糖尿病、認知症等の成人性疾患等に関する新たな医療技術の開発が望まれており、その実現のためには進展著しい医療分野の多様な要素技術や研究成果を、創薬や、これを支援する解析ツール、診断技術、医療機器等の開発に応用することが必要です。そのためには、迅速な実用化に向け、民間企業と臨床研究機関が一体となって研究開発を行うことが重要です。
本事業では、現場のニーズを掘り起こし、多様な技術分野の研究成果を円滑に医療現場に届けるために、臨床研究成果の開発へのフィードバックを重視しながら、これまで実現できなかった治療・診断効果を発揮する医療技術、特に、患者の負担軽減(QOL向上、低侵襲化、及び治療期間の短縮等)や医師・看護師等、医療従事者の負担軽減(操作性向上等)に資する技術の汎用化を実現する、新たな医療技術・システムを開発します。また、医療の高度化、個別化に対応した安全性の向上及び医療技術等の実用化の加速を実現する評価技術を開発します。これらの開発により、科学技術の進歩に応じた医療技術の迅速な実用化・普及を図ることを目的とし、以下の技術および研究開発フェーズに合致する開発を支援します。
なお、本制度の対象とする技術分野は創薬技術、診断技術、再生・細胞医療、治療機器の4分野となりますが、平成19年度の採択状況等に鑑み、平成20年度追加公募では以下の2分野に絞り公募を実施致しました。

• 対象技術
 創薬技術、診断技術
• 研究開発フェーズ
 橋渡し研究(実施期間は2~3年程度とし、年間3億円程度/件を上限)
 先導研究(実施期間は1~2年程度とし、年間5千万円程度/件を上限)
 レギュラトリーサイエンスを支援する実証研究(実施期間は2~3年程度とし、年間2億円程度/件を上限)

3.問い合わせ先
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
バイオテクノロジー・医療技術開発部 古川、佐野
TEL:044-520-5231
https://app3.infoc.nedo.go.jp/informations/koubo/koubo/EK/nedokoubo.2008-10-01.4135775258/

炭素繊維複合材料の自動車プラットフォームを10分で成形(2008/10/21)
-スチール対比50%軽量化、1.5倍以上の衝突安全性(エネルギー吸収量)を実証-

 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(神奈川県川崎市、理事長:村田成二、以下「NEDO技術開発機構」)の委託事業である「省エネルギー技術開発プログラム「自動車軽量化炭素繊維強化複合材料の研究開発」」(*)において、東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:榊原 定征、以下「東レ」)は、このたび炭素繊維複合材料(CFRP(※1))を用いて自動車プラットフォーム(※2)(車台)の前部フロアを、10分以内に成形することに成功しました。従来のスチールに対して50%の軽量化を実現するとともに、1.5倍以上の衝突安全性(エネルギー吸収量)を達成しました。

 CFRPは、軽量化と安全性の両立が求められる次世代の自動車構造材料として注目されています。しかし量産技術の確立に向けて、“大型・複雑構造の形成”と“成形時間の短縮”が技術課題となっています。特に成形時間の短縮は、CFRPの量産性向上とコストダウンに直結する重要な課題です。東レはこの課題に対し、CFRPを10分サイクルで成形することを目標に、「ハイサイクル一体成形技術」の開発に取り組んできました。

 「ハイサイクル一体成形技術」は、金型の中に炭素繊維のプリフォーム(※3)(中間基材)を配置し、樹脂を高速で注入・硬化させてCFRPを成形するRTM(※4)法を全面的に見直すことで、実現したものです。今回、以下の新技術を融合することで、複数の部材が一体化した大型サイズのCFRPを10分以内のハイサイクルで、一貫して自動成形できるようシステム化しました。


1.「ハイサイクル成形樹脂」
 RTM法に使用される低粘度エポキシ樹脂の設計を抜本的に見直し、流動性と硬化速度及び耐熱性を飛躍的に向上させた「ハイサイクル成形樹脂」を新たに開発しました。金型内の樹脂流動時間:3分、硬化時間:5分という短時間の成形サイクルを可能にした他、ガラス転移温度:140℃以上という耐熱性を達成しました。同樹脂を用いたCFRPで、自動車構造部材に適用可能な力学特性を発現することを確認しています。

2.「自動プリフォーム賦形技術」
 プリフォームは、型紙を作製して炭素繊維シートを裁断・積層し、賦形(ふけい)(※5)することで作られます。しかし手作業が多いため、品質管理が難しく、生産性の向上にも限界がありました。本開発プロジェクトでは、炭素繊維シートの立体賦形技術とその自動化技術及び炭素繊維シートの裁断形状をプリフォームの形状から予測する「立体賦形シミュレーション技術」を新たに開発し、従来のプリフォーム製造工程における問題を解決しました。

3.「ハイサイクル注入工法」
 大型CFRP部材を成形する場合、注入した樹脂が炭素繊維シート全体に含浸するまでに時間がかかるという問題があります。今回、大型CFRP部材においても樹脂を3分以内に炭素繊維シートに含浸させる、新たな樹脂含浸工法「ハイサイクル注入工法」の開発に加えて、金型内に注入した樹脂の流れを予測する「含浸シミュレーション技術」を確立しました。

4.「大型成形試験設備」および「自動搬送装置」の導入
 実物大の自動車プラットフォームという大型CFRP部材にも対応できる大型成形試験設備を導入した他、自動搬送装置の開発によって、これまで人手で行われていた大型CFRP部材の運搬工程の省人化を図り、成形工程のさらなる自動化を進めました。

 東レは本開発技術を用いて、まず2005年に複雑な三次元形状を持つドアインナーパネル(1.2m×0.8m大)の10分成形に成功したのに引き続き、このたび1.8m×巾1.6m大の大型・複雑構造を持つプラットフォーム(前部フロア)についても10分サイクルの成形を達成しました。

 一方、安全性の検証において、同プラットフォーム試作品を用いて前面衝突試験(フルラップ衝突試験)を行った結果、スチール対比50%の軽量化を実現しつつ、1.5倍以上の衝突安全性(エネルギー吸収量)を達成しました。これにより、本開発プロジェクトの最終目標である「安全性と軽量性を兼ね備えたCFRP製プラットフォームのハイサイクル一体成形」の実証に成功しました。

 本技術は自動車用途にとどまらず、航空機をはじめとした幅広い用途で展開することも可能です。東レは、「ハイサイクル一体成形技術」をCFRPの本格普及に向けたキーテクノロジーの一つと位置づけ、早期の実用化を目指します。今後、自動車・航空機向け総合技術開発拠点「A&Aセンター(Automotive & Aircraft Center)」(愛知県名古屋市)に開設した自動車向け総合開発拠点「オートモーティブセンター(AMC)」及び来年4月に開設予定のCFRP成形品技術開発施設「アドバンストコンポジットセンター(ACC)」において、本技術の実用化開発を推進していきます。

 東レは2006年10月より、経営のイノベーション(革新と創造)による高収益企業への転換を目指して、中期経営課題“Innovation TORAY 2010 (IT-2010)”をスタートし、その基本戦略の一つとして「重点4領域への先端材料の拡大」を推進しています。東レは、重点領域の一つにあたる「自動車・航空機」分野に向けた先端材料事業を強化・拡大していくことで、高収益企業への転換を加速して参ります。

 省エネルギー技術開発プログラム「自動車軽量化炭素繊維強化複合材料の研究開発」は、NEDO技術開発機構が、東レと日産自動車株式会社に委託して実施してきました。具体的には、「ハイサイクル一体成形技術」、「金属など他素材との接合技術」、「安全設計技術」および「リサイクル技術」の各開発テーマについて研究開発を進めました。今回開発に成功したプラットフォーム(前部フロア)試作品は、東レの複合材料研究所とコンポジット開発センターが中心となって開発に取り組んできた成果です。

(*)プロジェクト実施期間 :平成15年11月~20年3月(期間:4年5ヶ月)
   プロジェクト予算    :約20億円
   プロジェクトリーダー  :東レ(株)複合材料研究所 所長 北野彰彦

※1 CFRP :
 Carbon Fiber Reinforced Plasticの略。「炭素繊維複合材料」、「炭素繊維強化プラスチック」のこと。
※2 プラットフォーム :
 複数の車種で共用している部材で、量産性が特に求められる。
※3 プリフォーム :
 成形するCFRP部材の形状に合わせて裁断、積層した炭素繊維シート。
※4 RTM :
 Resin Transfer Molding(レジン・トランスファー・モールディング)の略。成形法の一種。
※5 賦形(ふけい) :
 プリフォームに成形するCFRP部材の形状を付与すること。

タンパク質や細胞を“その場”で“簡単に”固定して計測できる新規バイオチップシステムを開発【産技助成Vol.45】(2008/10/20)
新規の表面改質技術「電気化学バイオリソグラフィー(注1)」技術を確立。
使い捨て型のマイクロ流路型チップに本技術を搭載し
タンパク質や細胞を“その場”で”簡単に”固定して計測できるバイオチップシステムを創出した。

図1. バイオリソグラフィー試作機の外観(左)と流路内のマルチ抗体固定を実現(右)
バイオリソグラフィー試作機(左)の差込口に流路チップ(右)を挿入し、パソコン画面上で使用する抗体を設定すると、マイクロ流路の内壁に自動的に抗体が固定される。右の例では、3種の異なる抗体が配列固定されている。

【新規発表事項】
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、東北大学大学院工学研究科の教授、西澤松彦氏は、電気化学的な新規リソグラフィー技術を搭載したバイオチップシステムの開発をしました。
 これまで抗体やタンパク質等(生体試料)の接着を行うにあたり、脆弱な細胞や抗体をその場でアレイ化する簡便な固定化法とチップ技術が望まれていましたが、本技術はマイクロ流路(注2)内部で、乾電池程度(1.7V、10秒)の直流電圧をかけることでタンパク質や細胞の固定が可能になり、抗体を固定すればイムノアッセイ(免疫測定)チップ、あるいは細胞を捕集固定すれば細胞診断チップが必要なときに必要な場所で簡単に作製でき、“即答性”や“連続性”という要求に応えることができる技術です。
 また健康・医療分野への応用では、感染のテストや救急医療、環境分野では生物災害や大気汚染等において、原因物質をオンサイト(現場)で特定することができます。食品分野におけるアレルゲン検出や、港・空港での検疫検査などに活用できる技術としても期待されています。
(注1): バイオ固定化技術の一種。ヘパリンやアルブミンを吸着させた基板に近づけた微小電極で次亜臭素酸(HOBr)を生成すると、電極の近傍にだけタンパク質や細胞が接着する現象を利用する。
(注2): ガラス、金属、プラスチックなどの基板上に約10μm~約1mmの幅で設けられている流路。

1. 研究成果概要
AFM(原子間力顕微鏡)(注3)、TOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析)による原子・分子レベルの表面解析や、共焦点蛍光顕微鏡(注4)観察などによって「電気化学バイオリソグラフィー」の原理解明に取り組みました。その結果、物理吸着したアルブミン(注5)分子(または静電吸着したヘパリン(注6))が電極で生成した次亜臭素酸の酸化力によって基板から速やかに脱離し、タンパク質の吸着や細胞接着が局所的に誘導されるメカニズムを解明しました。また、マイクロ流路の上壁に電極アレイをつくり込むと、流路内でも電気化学バイオリソグラフィーが行えることを確認。さらに電気化学リソグラフィー操作を繰り返し行うことによって、流路内に複数種類の抗体を固定できることもわかりました。
 マイクロ流路チップへの送液(溶液の入れ換え)と電圧印加(電気化学処理および細胞の捕集)をプログラムに沿って自動制御する装置の試作は、プレシジョン・システム・サイエンス株式会社と共同で行いました。
(注3): 試料と探針の原子間に働く力(原子間力)を検出して画像を得る顕微鏡。
(注4): 蛍光標本を詳細に観察、解析する顕微鏡で、焦点の合った画像成分のみを抽出できる。
(注5): 血清に含まれるタンパク質の一種。これを物理吸着させると、他のタンパク質の吸着を防ぐ効果を示す。
(注6): 血液の抗凝固薬のひとつで、これもタンパク質の吸着を防ぐ効果を有する.。
2.
3. 競合技術への強み
1. 簡便性・汎用性:電気化学バイオリソグラフィーは簡便なウェットプロセスで、電極と電源(乾電池程度)だけで行えるシンプルな機構です。
2. その場性:シンプルな機構なので使い捨て型のマイクロ流路などへ集積でき、タンパク質や細胞を“その場”で固定して計測を行えます。
3. 流路への搭載:流路の上壁に電極アレイ(配列)をつくり込むことで、流路内でも電気化学バイオリソグラフィーが行えることを実証しました。
4. 計測時間:抗体固定から計測結果を得るまでの操作に必要な時間は現在約70分ですが、装置の自動化により、目標である1 時間が達成できる見通しが立ちました。

本研究で実証
表1.タンパク質や細胞の固体化技術に係る従来技術と本研究との比較表
4. 今後の展望
 タンパク質や細胞を流路内局所に固定することを可能とし、一連の操作を半自動的にPC制御下で行えるバイオリソグラフィー試作機の作製に到達しました。将来的には血球細胞の形態診断や、培養細胞を用いる薬剤アッセイ(分析・評価)や化合物の安全性試験などの基盤装置として実用化を検討します。現時点では作製したバイオチップを顕微鏡下で評価していますが、今後は計測システムの一体化にも取り組みます。具体的にはQCM(水晶振動子を利用した計測装置)を流路チップに組み込める見通しが立っているので、抗体の固定から計測までを1台で行えるオールインワンの小型装置を開発し、オンサイト計測を実現するのが最終目標です。
5. 問い合わせ先
(1) 技術内容について
<代表研究者名・所属機関・部署名・役職名>
西澤 松彦(東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻 教授)
TEL:022-795-7003   FAX:022-795-7003
E-mail:
研究室HP: 西澤・安部研究室 バイオマイクロマシン工学講座
(2) 制度内容について
NEDO技術開発機構 研究開発推進部 若手研究グラントグループ
岸本 和久、松崎 肇、千田 和也
TEL:044-520-5174 FAX:044-520-5178
個別事業HP:産業技術研究助成事業(若手研究グラント)
http://www.nedo.go.jp/informations/press/201020_1/201020_1.html

衝撃を吸収するプラスチックを開発(2007/1/31)
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO技術開発機構」)の委託事業である「精密高分子技術プロジェクト」において、東レはこのたび、山形大学・井上教授グループと共同で、通常は高機能プラスチックとしての特性を示し、急激に衝撃を加えたときにゴムのように変形して衝撃を吸収する世界初の衝撃吸収プラスチックの開発に成功した。
 2種類以上のプラスチックをナノメートル単位で最適にアロイ化(混合)する「ナノアロイ技術」の深化により実現したもので、従来のプラスチックの常識を覆す革新材料の創出により、全く新しい用途、分野への材料展開が可能になりる。本プロジェクトにおいて、2008年までに実用化に向けた基本技術を確立し、プロジェクト終了後、東レは2010年までの製品化を目指す。
http://www.nedo.go.jp/
http://www.toray.co.jp

『臨床バイオインフォマティクス研究施設』が完成(2004/2/27)
 産業技術総合研究所では、平成14年度補正予算によって、つくばセンター・つくば中央第4事業所内4階に「臨床バイオインフォマティクス研究施設(クリーンルーム、質量分析機器を始めプロテオミクス解析システム、トランスクリプトーム解析システム及び解析用クラスタシステム)」の整備を進め、2月27日に竣工致した。
 本施設で実施する主な研究は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオ・IT融合機器開発プロジェクトのもとで採択された「ゲノム・プロテオームをベースとしたプロファイル診断システムの研究開発(平成15~17年度)」。
 本研究開発は、臨床情報とともに収集された少量の血液や脳脊髄液のハイスループット解析により、がん、虚血性心疾患、妊娠中毒症、肝細胞機能障害および脳機能障害等の病態と連動して変動するタンパク質・遺伝子バイオマーカーの発見をめざす。関連した臨床と基礎研究を密接な連携の基に展開することで、疾病の迅速で、信頼できる早期診断支援システムの開発を行う。我が国における最初の本格的な産学官共同プロテオミックス研究であり、臨床と恒常性基礎研究が密接に連携した本格的臨床バイオインフォマティクス研究は世界でもこれが始めて。
 実施体制としては、臨床バイオインフォマティクス研究施設の完成によって、産業技術総合研究所・年齢軸生命工学研究センター、筑波大学、MCBインフォマティクス、島津製作所、三井情報開発が参加して、「臨床バイオインフォマティクス研究イニシアティブ( Clinical Bioinformatics Research Initiative,CBIRI )」を構成する。