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“活性水素”を利用した新しい酸窒化物の合成法の開発(2015/10/20)
竹入 史隆 京都大学 大学院工学研究科 博士後期課程学生、矢島 健 同特定助教(現、東京大学 助教)、小林 洋治 同講師、陰山 洋 同教授らは、マイナス電荷をもつ水素イオン(ヒドリド注1))の高い活性を利用した酸窒化物注2)の新しい合成法の開発に成功しました。本研究成果は、英国科学誌「ネイチャーケミストリー(Nature Chemistry)」誌(ロンドン時間10月19日電子版)で公開されました。
現在、陶器、電子部品など身の回りでつかわれているセラミックス材料は、酸素イオン(O2−)からなる酸化物です。近年、酸素イオンと窒素イオン(N3−)の両方を含む酸窒化物が、可視光触媒などの(酸化物にはない)優れた特性を示す次世代材料として大きな注目を集めています。しかし、酸窒化物の合成には高温(900〜1500℃)のアンモニア気流中で焼成するという過酷な条件が必要であり、組成と構造に大きな制約があるため機能の制御が困難でした。
本研究では、酸化物の中に存在するマイナス電荷の水素イオン(ヒドリド、H−)が高い活性を有することに着目して、温和な条件で酸窒化物を合成する新しい手法を開発しました。陰山教授らは2012年に、ヒドリドを大量に有する酸化物の合成に成功し、その結果をネイチャーマテリアルズ誌に報告しています。今回、同物質をアンモニア気流中、500℃以下の温度で処理したところ、物質中のヒドリドがアンモニア分子(NH3)の窒素と結晶骨格を保ったまま交換し、最終的に酸窒化物が得られることを見出しました。酸窒化物は、次世代の強誘電材料注3)の候補として期待されており、本研究により得られた酸窒化物は、試料全体の機能が制御された強誘電性を示す初めての例となります。このように酸化物の中に存在する“活性水素”を利用することにより、今後、酸窒化物に限らず、従来は不可能であったさまざまな無機材料の設計が可能になると期待されます。
本研究成果は本学、ペンシルベニア州立大学、東京大学、米国国立標準技術研究所、ケント大学との共同研究です。また本研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)「超空間制御に基づく高度な特性を有する革新的機能素材等の創製」(研究総括:瀬戸山 亨 三菱化学株式会社 フェロー・執行役員、平成26〜31年度)、日本学術振興会の最先端研究開発支援プログラム「新超電導および関連機能物質の探索と産業用超電導線材の応用」(中心研究者:細野 秀雄 東京工業大学 教授、平成22〜25年度)の支援を受けて行われたものです。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20151020/index.html

成人 T 細胞白血病リンパ腫における遺伝子異常の解明(2015/10/5)
概要
成人 T 細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia lymphoma: ATL)は、日本を主要な流行地 域の一つとするヒト T 細胞白血病ウイルス 1 型(human T-cell leukemia virus type-1: HTLV-1) 感染によって生じる極めて悪性度の高い血液がんの一つです。乳児期に HTLV-1 ウイルスに感 染した T 細胞に、数十年間にわたってさまざまな遺伝子の変化が生ずることによって ATL の発症 に至ると考えられていますが、従来こうした遺伝子の変異については多くが不明のままでした。
今回、京都大学大学院医学研究科 腫瘍生物学 小川誠司 教授、宮崎大学医学部 内科学講 座消化器血液学分野(第二内科)下田和哉 教授、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析セ ンター 宮野悟 教授、国立がん研究センター研究所 がんゲノミクス研究分野 柴田龍弘 分野長、 京都大学ウイルス研究所 ウイルス制御研究領域 松岡雅雄 教授、東京大学大学院新領域創 成科学研究科 メディカルゲノム専攻 渡邉俊樹 教授を中心とする研究チームは、約 400 例の ATL 症例の大規模な遺伝子解析を行い、ATL の遺伝子異常の全貌を解明することに成功しまし た。本研究では、全エクソン解析・全ゲノム解析・トランスクリプトーム解析などの次世代シーケン サーを用いた解析およびマイクロアレイを用いたコピー数異常や DNA メチル化の解析を組み合 わせて、さまざまな遺伝子の異常を包括的に明らかにしました。この大規模なデータ解析は、東 京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターと共同でスーパーコンピュータ「京」を利用する ことにより可能となりました。
今回の研究の主な成果は以下の点です。
1 最先端の遺伝子解析手法とスーパーコンピューティングを用いた統合的な解析によって、これ
まで同定されていなかった多数の新規の異常を含むATLの遺伝子異常の全体像の解明に成
功しました。
2 今回同定された異常は、PLCG1、PRKCB、CARD11、VAV1、IRF4、FYN、CCR4、CCR7な
どの機能獲得型変異、CTLA4-CD28、ICOS-CD28などの融合遺伝子、CARD11、IKZF2、 TP73などの遺伝子内欠失などからなります。これらの異常は、T細胞受容体シグナルの伝達 をはじめとする、T細胞の分化・増殖などのT細胞の機能に深く関わる経路や、がん免疫から の回避に関わる経路に生じており、こうした異常によって正常なT細胞の機能が障害される結 果、T細胞のがん化が生じてATLの発症に至ると考えられました。
3 特に、ホスホリパーゼCやプロテインキナーゼC、FYNキナーゼ、ケモカイン受容体など、同定 された変異分子の多くが新規治療薬剤の開発に向けた有望な標的と考えられました。
本研究は、ATL について行われた過去最大規模の遺伝子解析研究です。さまざまな手法を組 み合わせることにより包括的に ATL の遺伝子異常を明らかにすることに成功しました。本研究の 結果は、ATL の病気の仕組みの解明に大きな進展をもたらすのみならず、今後、本疾患を克服す るための診断や治療への応用が期待されます。
本研究は、厚生労働省ならびに 2015 年度からは日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的 がん医療実用化研究事業」、科学研究費助成事業 新学術領域研究(22134006)、HPCI 戦略プ ログラム利用研究(hp140230)、国立がん研究センター研究開発費(26-A-6)の支援を受けて行わ れたもので、その成果は、2015 年 10 月 6 日付で国際科学誌「Nature Genetics」電子版にて公開 されます。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/files/151005.pdf

糖分を細胞内に輸送する膜たんぱく質の立体構造と動きを解明 ~肥満やがんの抑制策に役立つ新たな知見~(2015/10/1)
ポイント
抗体を用いる独自の結晶化技術により、ヒト・哺乳類において糖分子を細胞内に輸送する膜たんぱく質の立体構造を解明した。
膜たんぱく質が柔軟に立体構造を変化させて、特定の糖分子を選択的に細胞内に取り込む仕組みが分かった。
肥満やがんを抑制する薬剤の分子設計などにつながる基盤情報が得られた。
京都大学 大学院医学研究科 野村 紀通 助教、岩田 想 教授らは、ヒト・哺乳類において細胞内に果糖を選択的に輸送するGLUT5(グルットファイブ)注1)という膜たんぱく質の立体構造を解析し、GLUT5が細胞膜において細胞の外側に向けて開いた状態(以下、「外開き」)と内側に向けて開いた状態(以下、「内開き」)の2つの立体構造を介して果糖を細胞内に輸送していることを明らかにしました。
ブドウ糖や果糖などの糖分子は生命維持に必須ですが、食物中の糖分子は糖輸送体という膜たんぱく質を介して、細胞内に取り込まれてエネルギーなどへ変換されます。この糖輸送体のうち、促進拡散によって糖分子を輸送する膜たんぱく質(GLUT)は、肥満や糖尿病だけでなく、がんの細胞増殖制御にも関与していることが知られています。
本研究グループでは、抗体フラグメント注2)を結晶化の促進因子として用いる独自技術により、ヒトのGLUT5とよく似ているラットのGLUT5を結晶化することに成功し、その立体構造を原子レベルで解明しました。得られた立体構造は、GLUT5が外開きの状態であり、細胞の外からの果糖の流入・結合を待ち受けている構造と考えられます。また、ウシのGLUT5を結晶化し、立体構造を解明することにも成功しました。この立体構造は内開きの状態で、GLUT5が細胞内に果糖を放出して輸送を終えた瞬間の構造と考えられます。さらに、これらの立体構造を比較したところ、GLUT5を構成する2つの大きな部位が開閉するだけでなく、それらの部位の内部でも局所的な構造変化が起こることで、一度結合した果糖を細胞外に逃さずに効率良く細胞内に送り込むためのゲートが形成されることが明らかになりました。
これらの立体構造の情報は、GLUT5の輸送活性を阻害するための薬剤の分子設計に重要な指針を与えるものであり、今後、肥満や生活習慣病の予防・治療薬やがん細胞のマーカーなどの開発につながることが期待されます。
今回の研究開発は、JST 戦略的創造研究推進事業による支援を受けています。また、本研究はスウェーデン王国・ストックホルム大学のDavid Drew(デイビット ドリュー)博士らとの国際共同研究チームで行ったものです。本研究成果は、2015年9月30日(英国時間)に英国科学誌「Nature」のオンライン速報版で公開されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20151001-2/index.html

亜鉛トランスポーター複合体による亜鉛要求性酵素の活性化機構を解明(2011/4/26)
-亜鉛トランスポーターにタンパク質を安定化させる新たな機能-

◇ポイント◇
* 亜鉛トランスポーターは、亜鉛要求性酵素の安定化と活性化の2段階で制御
* 亜鉛トランスポーターが、タンパク質の安定性を制御していることを初めて発見
* 低フォスファターゼ症などの治療方法の開発などに大きく貢献

独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、生命活動に必須なミネラルの1つである亜鉛を細胞内に輸送する亜鉛トランスポーター※1が、タンパク質を細胞内分解から防ぎ、安定化させる機能を持つことを明らかにしました。これは理研分子イメージング科学研究センター(渡辺恭良センター長)複数分子イメージング研究チーム(榎本秀一チームリーダー)の福中彩子研究員と、京都大学生命科学研究科の神戸大朋准教授らとの共同研究による成果です。

ヒトの体で働くタンパク質の約10%は、亜鉛と結合する構造を持っており、免疫や神経機能、糖尿病やがん転移など、さまざまな生命現象に関わっています。亜鉛と結合することで活性化する酵素は亜鉛要求性酵素と呼ばれ、低フォスファターゼ症※2の発症に関わる組織非特異的アルカリフォスファターゼ(TNAP)※3などが知られています。研究グループはこれまでに、TNAPの活性化には亜鉛トランスポーターが必要であることを明らかにしてきました。今回、さまざまな亜鉛トランスポーターの変異体を用いてTNAPの活性と挙動を観察した結果、亜鉛トランスポーターが、まずTNAPを安定化し、ついでTNAPに亜鉛を供給することによって活性化する、という2段階の制御を行っていることを突き止めました。これにより、亜鉛トランスポーターが単に亜鉛要求性酵素に対して亜鉛を輸送するだけではなく、亜鉛要求性酵素そのものの安定化も制御していることが判明しました。これらの発見は、疾患と関与するほかの亜鉛要求性酵素への亜鉛供給メカニズムの解明や治療方法の開発に、大きく貢献するものと考えられます。

本研究成果は、米国の科学雑誌『The Journal of Biological Chemistry』(5月6日号:オンライン版4月29日付け)に掲載されます。
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2011/110426/index.html

京都大学と大日本住友製薬の協働による制がん研究拠点「悪性制御研究プロジェクト」(略称:DSK プロジェクト)実施のお知らせ(2011/3/15)
国立大学法人 京都大学(本部:京都市、総長:松本紘)と大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田正世)は、がんの悪性制御に基づく独創的な抗がん薬、診断法および治療法の創出を目指して、協働研究を実施しますので、お知らせします。
京都大学は、画期的な薬剤・医療技術の創出と創薬研究者の育成を目的として、日本初の対等な協力関係によるオープンイノベーション拠点として「メディカルイノベーションセンター」を設立し、包括的組織的産学連携プロジェクトを積極的に推進しています。がん領域においては、京都大学医学部付属病院に国立大学病院として日本初の「京大病院がんセンター」を設置し、高度ながん医療を提供しています (1)。基礎研究面においては、分子レベルから細胞、個体レベルに至る広汎な研究を進め、効果的治療法の開発に繋がる先進的な研究を展開しています。また、医学研究科においては、グローバルCOE プログラム「生命原理の解明を基とする医学研究教育拠点」(2)の中で「がん」を重要研究領域の一つと位置づけ、国際的リーダー育成を目指す大学院教育と基礎-臨床間の双方向的な交流を図っています。同研究科は、世界最大、最高水準のがん医療施設として知られるMD アンダーソンがんセンターの姉妹機関としても選定されています。
大日本住友製薬は、「精神神経」領域に研究の重点をおいていますが、これに加え、アンメット・メディカル・ニーズの高い「がん」をチャレンジ領域と位置づけ、免疫治療等の新たなアプローチによる抗がん薬の創薬研究に注力しています。
DSK プロジェクトでは、豊富な基礎医学・臨床医学の知見を有する京都大学と、抗がん薬の研究に注力する大日本住友製薬が、人材、資金、知見、マネジメントを融合させ、お互いの知的資産を有効利用しながら協働で研究することにより、新規創薬標的およびバイオマーカー(疾患の状態や変化、治癒の程度を特徴づける生物学的指標)を同定するとともに、候補物質探索を進め、独創的な抗がん薬、診断法および治療法の創出を目指します。
(1) http://www.cancer.kuhp.kyoto-u.ac.jp/
(2) http://www.med.kyoto-u.ac.jp/GCOE/J/index.html
[別紙にDSK プロジェクトの概要を記載しています]

DSK プロジェクトの概要

【目的】
分子・細胞生物学的観点および臨床的な観点から、がんの悪性制御に基づく独創的な抗がん薬、診断法および治療法を創出することを目指す。

【期間】
2011 年3 月から5 年間

【研究体制の概要】
DSK プロジェクトの運営や意思決定は、京都大学と大日本住友製薬から選ばれた同数の委員で構成する協働運営委員会、探索研究推進委員会、創薬研究推進委員会、知的財産委員会により行う。研究活動は、経験豊かな実験病理学者である日合 弘 京都大学名誉教授(研究統括者)の指導の下、京都大学中核研究者チーム、若手研究者チーム、企業派遣研究者チーム、大日本住友製薬サテライト研究チームにより実施される。
http://www.ds-pharma.co.jp/pdf_view.php?id=119

京都大学はiPS-AJ社を通じてiPierian社にiPS細胞関連特許のライセンスを許諾し、iPierian社は同社保有のiPS細胞特許を京都大学に譲渡しました。(2011/2/1)
 京都大学は、iPSアカデミアジャパン株式会社(iPS-AJ社)を通じて、京都大学が保有する人工多能性幹(iPS)細胞製造に関する基本特許(特許出願を含む)について非独占的なライセンスを、米国iPierian Inc.に本年1月27日に許諾しました。今回のライセンス許諾により、iPierian社は、全世界で京都大学が保有するiPS細胞関連特許に基づき、iPS細胞およびiPS細胞由来の分化細胞を使用し、ヒト用治療薬の研究開発を行うことができます。

 また、世界で初めてiPS細胞樹立を報告した山中伸弥 iPS細胞研究所長が、iPierian社の科学諮問委員会(Scientific Advisory Board:SAB)委員に就任し、科学的見地から各種アドバイスを行います。なお、iPierian社から、SAB委員としての報酬は受け取りません。

 さらに、京都大学は、iPierian社が保有するiPS細胞製造に関する特許(特許出願を含む。以下、バイエル特許という。)を、同日付で譲り受ける契約を締結しました。京都大学がiPierian社から取得した特許は、バイエル薬品株式会社神戸リサーチセンターの研究から生まれたもので、2008年に独国Bayer Schering Pharma AG(バイエル社)からiPierian社の前身であるiZumi Bio, Inc.に譲渡されたものです。具体的には、日本国特許出願第2007-159382号に基づき世界各国に出願された特許が今回の譲渡の対象となります。

 昨年、iPierian社から、山中所長の発明を尊重し、将来想定される京都大学との特許係争を回避するために、同社が保有するバイエル特許を京都大学に譲渡したいという申し出がありました。京都大学は、iPS細胞研究所(CiRA)を中心に、世界のiPS細胞研究をリードする存在として、多くの研究機関や企業がiPS細胞技術を安心して使用できるよう、iPS細胞関連特許の権利化を図ってまいりました。本譲渡は、京都大学のみならず、iPS細胞研究に関わる機関や企業にとっても大きな意義を有すると考え、今回の申し出を受け入れることにしました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/110201_1.htm

武田薬品-京都大学の協働によるオープンイノベーション創薬拠点 「中枢神経系制御薬の基礎・臨床研究プロジェクト」の実施について(2011/1/18)
(略称:TKプロジェクト)

国立大学法人京都大学(本部:京都市左京区、以下「京都大学」)および武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)は、このたび、中枢神経系制御に基づく肥満症治療薬および統合失調症治療薬の創製を目的とする5年間の協働による研究開発契約を締結しましたのでお知らせします。

京都大学は、産官学連携によるプロジェクトを効率的に運営する目的で、日本で初めての対等な協力関係に基づくオープンイノベーションに取り組む場として「メディカルイノベーションセンター」を医学研究科内に立ち上げています。本センターは大学や企業が人材、資金、知見、マネジメントを融合させ、お互いの知的資産を有効利用することで、画期的な新薬・医療機器を生み出したり、新たな創薬モデルを構築することに加え、創薬現場への医師/医学研究者の参画による人材育成を促進する場であり、このたび新たにTKプロジェクトを実施することになりました。

本契約により、京都大学と武田薬品は連携し、京都大学医学研究科・附属病院において蓄積されている基礎研究における知見や臨床データならびに京都大学の持つワールドワイドなネットワークを活用することで、肥満症治療薬および統合失調症治療薬の新規創薬ターゲットならびにバイオマーカー(特定の疾患や病状に現れる生物学的指標)を同定するとともに、候補物質の臨床医学研究を実施します。

京都大学大学院医学研究科長湊長博は、「TKプロジェクトは、日本の医学研究の一層の強化を目指し、若手研究者の育成に取り組んでいる本学と、創薬におけるオープンイノベーションを目指す武田薬品とが、基礎医学と臨床医学の両分野で、力を合わせて日本の医療産業の創薬基盤強化に向かって共に歩む画期的な試みです。」と述べています。

武田薬品の取締役であり研究開発統括職である大川滋紀は、「本契約を締結できたことを大変嬉しく思います。京都大学と緊密に連携し、協働で研究開発を実施することで、治療満足度が未だに高くない肥満症および統合失調症に対して、画期的な新薬を早期に開発することが可能になると期待しています。」と述べています。
http://www.takeda.co.jp/press/article_41048.html

iPSから高効率に肝細胞 新薬開発で利用目指す(2011/1/6)
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20110106010006881.asp

2009年度 大学・研究機関 特許資産規模ランキング、広島大学が7位に急浮上(2010/5/31)
株式会社パテント・リザルトはこのほど、「2009年度 大学・研究機関 特許資産の規模ランキング」を集計いたしました(※1)。このランキングの特徴は、特許の注目度を指数化する「パテントスコア」を用いることで、単純な件数比較では見られない、質的な観点を取り入れた評価を行っている点にあります。各大学・研究機関が保有する特許資産の強さを、質と量の両面から総合的に評価しました。

 これによると、上位3機関は1位 産業技術総合研究所(産総研)、2位 科学技術振興機構(JST)、3位物質・材料研究機構(物材機構)と前年と同じでした。これらの機関は保有特許件数が多く、「量」の面で4位以下との差を付けています。ただし、1件当たりで見るとこれら3機関の得点は高くなく、注目度の低い特許も多いことが伺えます。
 最も順位を上げたのは、7位の広島大学です。同大学の保有特許件数は、137件と必ずしも多くはありませんが、質の面で得点を上げ、上位にランクインしました。同大学の注目度の高い特許には、「データの保持特性が高い半導体メモリ」に関する技術や「高効率のデータ圧縮処理」に関する技術、「癌細胞の増殖を抑制する方法」に関する技術などがあります。 
 このほか、10位の九州大学、17位の東京大学などが、昨年度から大きく順位を上げました。
 上位20機関中で1件当たりの特許資産の規模が最も高いのは九州大学、次いで、岡山大学、東北テクノアーチとなっています。

【大学・研究機関 特許資産規模ランキング】
下記URL参照
【大学・TLO 特許資産規模ランキング】
下記URL参照

(※1)【ランキングの集計について】
 特許資産の規模とは、各大学・研究機関などが保有する有効特許を資産としてとらえ、その総合力を判断するための指標です。有効特許1件ごとに特許の注目度を評価する「パテントスコア」を算出した上で、スコアの高低が明確になるように重み付けを行い、それに特許失効までの残存期間を掛け合わせて、各機関ごとに合計得点を集計しています。パテントスコアの算出には、特許の出願後の審査プロセスなどを記録化した経過情報を用いています。経過情報には、出願人による権利化に向けた取り組みや、特許庁審査官による審査結果、競合出願人によるけん制行為などのアクションが記録されており、これらのデータを指数化することで、出願人、審査官、競合出願人の3者が、それぞれの特許について、どれくらい注目しているかを客観的に測ることができます。2010年3月末時点において有効特許を1 件以上保有している大学・研究機関を対象に集計しました。
http://www.patentresult.co.jp/news/2010/05/20097.html

研究室取材 薬品動態制御学分野(2010/5/7)
薬系進学2011で取材。
DDSロボットの共同研究など、興味深い研究室でした。
http://yakkei.jp/contents/links/kyoto-y.pdf

京都大学医学部附属病院から高精度放射線治療装置を受注 2008年4月の市場投入以来、5台目の受注(2010/2/17)
 三菱重工業は、京都大学医学部附属病院から最新鋭の放射線治療装置(線形加速器システム MHI-TM2000)を受注した。がん患部の位置を正確に把握し、ピンポイントで照射できる先端医療マシンで、周辺の身体組織への放射線障害を極力回避しながら高精度のがん治療を簡便に行うことができるのが特徴。納入は7月の予定。これにより、同装置の受注累計は2008年4月の市場投入以来、国内で4台、海外で1台の計5台となる。

【放射線治療装置「MHI-TM2000」】

 京都大学医学部附属病院は1899年設立のわが国を代表する総合病院。放射線治療科は日本の放射線治療をリードしており、先進的ながん放射線治療を積極的に行っていることで名高い。

 放射線を用いたがん治療では、体内の見えない病巣へ正確に放射線を当て、周辺の正常組織への副作用をいかに抑えるかが課題となる。MHI-TM2000は、エックス線撮像装置を2基装備し、世界最高レベルの精度の正確な放射線照射を可能としたことにより、正常組織への副作用を極力回避するだけでなく、従来装置では患者が乗った寝台を旋回させることで生じる位置ずれリスクを、患者側ではなく装置側を旋回させることで極小にした。また、これまで熟練した放射線技師が時間をかけて行っていた患部への位置合わせを自動でも可能とし、より簡便に実現することで、患者・医療スタッフ双方の負担を大きく軽減している。

 当社は、現在、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、肺呼吸や消化器の働きにより揺れ動くがん病巣をリアルタイムで追尾しながら連続的に照射する世界初の「動体追尾放射線照射」機能(薬事未承認)を有す装置の開発を進めるなど、製品の幅を着々と広げつつある。当社は今後も、医療機器の開発・製造・販売を強力に推進していく。
http://www.mhi.co.jp/news/story/1002174905.html

京都大学と産業技術総合研究所との連携協力の推進に係る協定の締結について(2010/1/19)
 国立大学法人京都大学【総長 松本 紘】(以下、「京都大学」という)と独立行政法人産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下、「産総研」という)は、2010年1月19日、連携協力の推進に係る協定を締結しました。

 京都大学は創立(1897年)以来、自由の学風を継承・発展させつつ多元的な課題に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献することを理念とし、高度な教育(知の伝承)、先端的な研究(知の創造)、社会貢献(知の社会還元)を実施しています。一方、産総研は1882年に創立された地質調査所をはじめとする産業技術系の旧国立研究所群を統合して2001年に創立した研究機関で、「持続的発展可能な社会の構築、技術を社会へ」という理念のもとに、産業競争力強化・産業技術政策の地域展開への貢献を目的に、基礎研究から製品化研究まで幅広い連続した研究を実施しています。

 京都大学と産総研は、これまでにも共同研究等により各種研究プロジェクトを推進するなど、先端的研究・教育を連携して進めてきました。今般、「学」の中核に位置付けられる京都大学と、この「学」の成果を「産」に橋渡しする位置にある産総研が協定を締結し、科学技術立国にとって必要不可欠な産官学連携をより強固にすることで、優れた「学」の成果の効果的な社会還元を図り、地球規模で拡大しつつある諸問題の解決に大きく貢献します。

1.協定の目的
(1) 「学」の中核に位置付けられる京都大学と、「学」の成果を「産」に橋渡しする位置にある産総研の連携による相乗効果で、研究の実社会への貢献をさらに加速させます。
(2) 国立大学法人と独立行政法人という異なる基盤とその特色を生かし、研究・教育内容の充実、学術・文化の発展、および科学技術の高度化を図ります。
(3) 環境・エネルギー分野や医工融合研究分野等における共同研究、産官学連携による社会貢献、科学技術立国を目指した基礎学術研究などにおいて、研究・教育・社会貢献の迅速な推進を図ります。
(4) 大型研究プロジェクトなどの先端的研究および教育をさらに精力的に推進しうる学術的土壌を醸成します。

2.主な連携内容
(1)研究分野における協力

<1>環境・エネルギー分野における共同研究
 地球温暖化問題から低炭素社会への移行が世界的に求められており、二酸化炭素排出量を低減する様々な革新的技術の開発が不可欠です。京都大学と産総研は長年にわたる電池等の研究実績を有し、現在、国の「次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発プロジェクト」や「革新型蓄電池先端科学技術基盤研究事業」を共同実施しています。今後、画期的な蓄電池・燃料電池・太陽電池等のエネルギーシステムの研究開発や省エネルギーデバイス開発を連携して推進します。
<2>医工融合研究分野における共同研究
 これからの高度化医療の発展を図るためには、医療機器などの一層の技術革新と医学・生物学を基礎とした新しい概念に基づく研究の創出が不可欠で、医学、工学の新たな融合領域を切り拓くことが重要になります。両機関は、京都大学が有する臨床現場の真のニーズを互いに理解しながら、相互の特徴を活かした診断と治療に関わる医工融合研究を遂行できる連携体制を構築します。

(2)国際連携および産官学連携・人材育成等における協力
 わが国にとって世界、とりわけ近隣諸国との国際連携協力が重要です。京都大学が中心に進めている持続可能な環境・エネルギーフォーラムは、アジア地区における新エネルギー技術と人材育成を目的にしています。フォーラムに発足当初から参画している産総研は、今後、重要なパートナーとして連携活動の推進を目指します。
 京都大学は歴史的に優れた人材を社会に供給しており、一方、産総研は産業人材育成への貢献をミッションの1つとしています。両機関は、インターンシップをはじめとする人材交流・研修を実施するとともに、優れた人材の供給という視点から、産業界の協力を得ながら効果的な共同事業を策定いたします。
 以上の共同研究・連携事業の展開を通じて、イノベーションシステムの構築や産業競争力の強化にも寄与します。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100119/pr20100119.html

iPS細胞の作成を,癌抑制遺伝子が阻害していることを発見 ―英国科学誌 Natureに発表―(2009/8/10)
 京都大学(生命科学系キャリアパス形成ユニット)の川村晃久特定助教 と アステラス製薬研究本部分子医学研究所の鈴木丈太郎 主任研究員らは、米国ソーク研究所(Salk Institute for Biological Studies)のGene Expression Laboratory(Juan Carlos Izpisúa Belmonte(教授)およびGeoffrey M. Wahl(教授))のグループと共に、p53と呼ばれる癌抑制遺伝子がiPS細胞の形成を阻害していることを見出し、8月10日(日本時間)のNatureオンライン版に掲載される。
 p53は,腫瘍の発生を抑える働きのある重要な癌抑制遺伝子で「ゲノムの守護神(guardian of the genome)」との異名をもち、本遺伝子の異常は,癌細胞において高率に発見されている。2006年に山中伸弥教授(京都大学)らは,3~4つの遺伝子によって体細胞からiPS細胞という人工的な多能性幹細胞(万能細胞)を作り出すことに成功した。このiPS細胞の作成の過程は「再プログラミング(初期化)」と呼ばれるが、実際に体細胞が初期化されiPS細胞になる確率は非常に低い。今回の研究成果により、この「再プログラミング」をp53が抑制していたことが明らかになった(図1)。p53の機能を低下させたヒトやマウスの細胞を用いると、高率でiPS細胞を作製することができた(図2)。さらにp53の機能が低下した細胞は,当初山中教授らがiPS細胞の作製に必要と発表した4因子のうち2つを加えるだけでiPS細胞になることができた(図2)。初期化を促すことにより、体細胞のなかでは、癌抑制遺伝子p53が活性化され、iPS細胞形成が強力に抑えられていると考えられた(図1)。iPS細胞の作成と発癌との間に何らかの関わりがあることが推測される。このように、本研究は、未解明な「再プログラミング」の仕組みの一端を明らかにし、将来のiPS細胞の臨床応用に向けたより安全かつ簡便で効率的なiPS細胞作成法の確立に役立つものと考えられる。
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/ips-nature.html

研究室取材 薬理ゲノミクス・ゲノム創薬科学分野(2009/5/18)
薬系進学2010で取材。
臨床研究から創薬研究まで幅広く貢献する研究内容です。臨床に触れながら研究できる環境は、大変恵まれていると感じました。
http://yakkei.jp/contents/links/kyoto-yakuri.pdf

細胞内や生体内で狙ったたんぱく質だけ 目印を付けることができる化学プローブ分子の開発 (バイオイメージングやバイオセンサー構築がよりリアルに、容易に)(2009/3/30)
 JST基礎研究事業の一環として、京都大学の浜地 格 教授らは、特定のたんぱく質を狙って、それが存在する細胞内や生体内環境で、そのたんぱく質の機能を損なうことなく、選択的に目印(ラベル)を付けることができる化学プローブ分子注1)を世界で初めて開発しました。
 従来、化学的な手法によるたんぱく質のラベル・修飾注2)は、選択性が低く、細胞内のたんぱく質には使えないと考えられてきました。そのため、オワンクラゲの蛍光たんぱく質(GFP)に代表されるような特種なたんぱく質を遺伝子上であらかじめ目的たんぱく質に融合させ、それを細胞内に発現させるという分子生物学的手法が用いられてきました。しかし、この遺伝子操作によって改変させたたんぱく質は、本来の自然な細胞とは異なる状態を誘導する可能性があるため、遺伝子操作が不要でかつ選択性の高い化学的な方法の開発が望まれていました。
 本研究グループは今回、導入したいラベルに標的たんぱく質へのターゲティング能を付与した化学プローブ分子を設計しました。さらに、これまでたんぱく質の修飾反応としては利用されていなかったトシル化学と呼ばれる化学反応を用いることによって、細胞内や生物個体内でもその機能を損なうことなく、狙ったたんぱく質を選択的にラベル化する手法を開発しました。
 この手法は、細胞内や生体内というたんぱく質や酵素が実際に働いている、より自然に近い状態での観察やイメージングを可能にすることから、たんぱく質に対する理解を促進するだけでなく、異常たんぱく質の検出による病気の診断、細胞内で構築されたバイオセンサー注3)を用いた創薬開発などにも役立つと考えられます。また将来的には、異常をきたした酵素やたんぱく質を直接修復することができる化学技術へと発展することも期待されます。
 本研究成果は、2009年3月29日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Chemical Biology」のオンライン速報版で公開されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST) 研究領域 : 「プロセスインテグレーションに向けた高機能性ナノ構造体の創出」
(研究総括:入江 正浩 立教大学 教授)
研究課題名 : 動的応答特性を有するナノ構造体の構築と精密バイオ機能化
研究代表者 : 浜地 格(京都大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間 : 平成20年10月~平成25年9月
 JSTはこの領域で、自己組織化に代表される従来のボトムアッププロセスに、分子レベルでの精緻な機能を利用して自訴構造化や自己修復などの新たな手法を取り込んで一段の高度化を図ることによって新規高機能性ナノ構造体の創出を目指しています。上記研究課題では、細胞の内部に侵入しその状態を精密にセンシングしたり、その働きを制御したりすることができる動的なナノ構造体の創製を目標に研究を展開しています。

<研究の背景と経緯>
 たんぱく質や酵素は生命維持をはじめ、あらゆる生命現象を支える主役の1つであるために、その機能や構造の理解はライフサイエンスにおける大変重要な課題です。またそれらの異常は直接病気につながることが多いので、たんぱく質や酵素の状態変化や異常を正確に検出・分析することは、病気の診断や予防にもつながると考えられています。最近では、その働きを理解し、異常を検出するためには、それらを試験管の中に取り出して調べるだけでなく、実際にたんぱく質や酵素が存在し、機能を発揮している細胞や生体の中でそのまま直接見ることが重要と考えらえるようになってきました。
 このために、昨年の下村 脩氏のノーベル化学賞受賞の対象となったオワンクラゲの蛍光たんぱく質(GFP)を用いた細胞内でのたんぱく質の蛍光イメージング技術が広く活用されています。ところが、GFPを使った方法も含めて従来の手法では、いったんたんぱく質の設計図である遺伝子を改変してGFPなどの目印を付けた融合たんぱく質となるようにし、これを細胞に戻して調べなければなりません。そのため、本来の自然な細胞環境とは異なる現象を観察してしまう恐れが常にあるうえ、元から細胞にあったたんぱく質の様子をそのまま調べることは不可能でした。遺伝子操作を加えることなく、そのままの細胞環境で、狙ったたんぱく質に、その働きを阻害することなく目印を付けることができれば、真に生体環境に近い状態で存在するたんぱく質の観察や分析ができることになると期待されていましたが、そのような手法はこれまでありませんでした。

<研究の内容>
 本研究グループは、これまで選択性が低いため、あるいは、たんぱく質機能を阻害してしまうために使えなかった化学的手法を飛躍的に発展させて、細胞内や生物個体内で狙ったたんぱく質に選択的に目印(ラベル)を付け、またその目印を利用することによってたんぱく質をバイオセンサーのような新しい機能性たんぱく質へ変換できる化学的方法論を世界で初めて開発することに成功しました。
 具体的には、以下に述べるような分子設計を施した化学プローブと呼ばれる数ナノメートルサイズの小さな分子を作り、これを化学ツールとして用いました。まず、導入したい目印にたんぱく質をターゲットする部品(リガンド)を付けて標的たんぱく質に選択的に相互作用する能力を付与しました。その際、目印とリガンドをトシル基と呼ばれるフェニルスルフォネート結合を介して連結しました。こうすることで、この化学プローブは標的たんぱく質と相互作用したときにのみそのたんぱく質と反応を起こすことができ、また、たんぱく質をラベル化(目印付け)すると同時に、たんぱく質ターゲットに使われたリガンド部位が切り離される仕組みになっています。この化学プローブは、細胞の外から内側へ侵入し、細胞内に存在する多種多様な成分の中から標的となるたんぱく質に選択的に近づき、そのたんぱく質の表面に目印をつけることを可能にしました。
 このラベル化は、試験管の中での精製したたんぱく質に対してだけでなく、(培養)細胞内やマウスの体内でも起こることも分かりました。また、ラベル化によってたんぱく質を蛍光で光らせることや磁気イメージングできるMRI活性注4)にすることもでき、これらのたんぱく質は細胞内で特定の分子と結合し、それらの存在の有無を読み出すことができるバイオセンサーとして機能することも確かめました。

<今後の展開>
 この技術は、より生体環境に近い状態でのたんぱく質や酵素の観察、解析を可能とするため、生体内での種々のたんぱく質や酵素の存在場所や役割の理解を促進するだけでなく、細胞内バイオセンサーの構築を容易にすることにつながり、それらを用いた創薬開発を容易にすると考えられます。また、異常をきたしたたんぱく質のイメージングや検出による疾病の診断などへと応用されることが期待できます。さらに将来的には、細胞内や生体内で異常をきたしたたんぱく質や酵素の選択的な分解や修復を可能とする化学的手法の開発を促す契機となることも期待されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20090330/index.html

肥満に伴うメタボリックシンドロームの予防に関する研究 京都大学の研究が農芸化学会2009 年度大会 のトピックスに選定(2009/3/18)
-話題のローズヒップポリフェノールに脂肪の代謝改善効果-

京都大学(京都府宇治市)大学院農学研究科河田教授らの研究で、ローズヒップに含まれるポリフェノール(Tiliroside:ティリロサイド)に、肥満モデル動物における脂肪代謝改善効果が明らかとなりました。この研究は、日本農芸化学会2009 年度大会(2009 年3 月27 日~3 月29 日、福岡市)のトピックスに選定され、3 月29 日に大会会場にて研究結果を発表致します。
森下仁丹株式会社(本社:大阪市中央区/代表取締役:駒村純一)は、2006 年3 月30 日公表の通り、京都薬科大学(京都市)薬学部吉川教授らとの共同研究で、ローズヒップエキスに抗肥満活性を見出し、2006 年の日本薬学会にて発表しています。今回の京都大学における研究にも当社からロースヒップエキスやローズヒップポリフェノール(Tiliroside)を提供しています。
尚、日本コカ・コーラ株式会社(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長:ダニエル・H・セイヤー)へのローズヒップポリフェノール(Tiliroside)を含むエキスの供給が決定しています。

全文は下記URL
http://www.jintan.co.jp/pdf/20090318nougeikagakukai_file.pdf

イノベーション創出基礎的研究推進事業(発展型) 「抗疲労作用のある新規高アントシアニン茶品種育成と利用食品開発」 プロジェクトはじまる!(2009/1/19)
ポイント
 本研究によって、安心で科学的根拠の明らかな疲労やストレスの軽減に効果のある新品種茶が育成され、消費者に提供できるようになります。
農研機構 野菜茶業研究所(三重県津市、所長 望月龍也)、(株)日本製紙グループ本社(本社 東京、社長 芳賀義雄)、国立大学法人九州大学(総長 有川節夫)、国立大学法人京都大学(総長 松本 鉱)、アサヒビール(株)(本社 東京、社長 荻田 伍)は、農研機構 生物系特定産業技術研究支援センターの「イノベーション創出基礎的研究推進事業(発展型)」において、「抗疲労作用のある新規高アントシアニン茶品種育成と利用食品開発」プロジェクトに平成20年度から3年間取り組みます。

今後、新たな高アントシアニン茶の育成・栽培試験を行うとともに、茶葉に含まれる機能性成分の研究を行い、今までにない新しいお茶を提供できるよう産学官で連携しながら研究をすすめてまいります。

≪背景・経緯≫

高齢化が進む中、健全な食生活による健康寿命の延伸や生活習慣病リスクの高い人を対象とした高機能性食品に対する国民の期待が高まっており、食品成分の機能性解明や機能性食品開発が大きな課題となっています。平成14年度厚労省国民栄養調査では、日常生活でストレスを感じる者は80.5%であり、非常な勢いで増加しています。連続的な疲労・ストレス状態は、血圧上昇、不眠、関節痛、頭痛、肩こり、食欲不振、免疫機能低下、消化性潰瘍、心疾患、脳血管障害、高血圧、高脂血症、心身症などの生活習慣病を引き起こします。 これまで我々は、高アントシアニン茶である紅花や茶中間母本農6号がヒト試験にて、眼精疲労、ストレス軽減効果を持っていることを明らかにし、上記2品種の交雑後代から栽培形質の優れた高アントシアニン茶系統を選抜し、苗の光独立培養技術を確立してきました。 本研究では、それらの技術シーズを活かし、安心で科学的根拠の明らかな新規抗疲労・ストレス高アントシアニン茶品種、飲食品素材の開発・提供を行い、疲労・ストレス起因生活習慣病の予防、茶産地の活性化・新興、新食品産業の振興をはかることを目的としています。

≪内容・意義≫

野菜茶業研究所が育成中の新規高アントシアニン茶系統を用いて、機能性成分の単離・同定、疲労・ストレスのバイオマーカーの解明、機能性成分の共存効果解明、機能性成分と代謝成分の安全性評価や適正摂取量の設定、作用メカニズムの解明、動物及びヒトでの臨床評価を行うとともに、短期成園化技術を確立しつつ、新規抗疲労・ストレス性高アントシアニン茶系統の栽培特性・茶葉特性の解明と品種登録申請、飲食品への応用をはかる食品素材化技術の開発を行うことで、抗疲労・ストレス効果を有する食品素材の開発をめざします。

≪今後の予定≫

平成20年度~22年度の3年間に、野菜茶業研究所では「抗疲労・ストレス効果をもつ茶品種育成と有効成分利用技術の開発」、(株)日本製紙グループ本社では「抗疲労・ストレス茶品種の短期大量生産技術の開発」、九州大学では「抗疲労・ストレス茶成分の作用機作の解明とその分子的基盤の確立」、京都大学では「抗疲労・ストレス成分の代謝吸収の解析と安全性の評価」、アサヒビール本社では「抗疲労・ストレス成分高含有茶品種を活用した新食品素材の開発」の研究課題を実施します。

≪成果、効果≫

本研究により安心で科学的根拠の明らかな抗疲労・ストレス効果のある新品種茶が育成され、消費者に提供できるようになります。そのことにより、疲労・ストレス起因生活習慣病の予防が期待され、新食品産業の創出、茶産地の活性化及び新興に大きく貢献できます。

≪用語の解説≫

I. イノベーション創出基礎的研究推進事業
民間企業、大学、独立行政法人等による生物系特定産業技術に関する研究開発の支援を行うためのツールの1つとして、我が国の生物系特定産業における特定の課題の解決や新たなビジネス分野の創出等、研究成果の最終的・具体的な活用先を念頭に置きつつ、基礎及び応用段階の研究を行おうとする産学官の研究チーム又は単独の研究者に対し、提案の公募を通じて研究を委託する事業。
イノベーション【innovation】

新機軸。革新。
新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念。シュンペーターの用語。また、狭義には技術革新の意に用いる。

II. アントシアニン
植物に含まれる紫色の色素のことでポリフェノールの一種のフラボノイド系。主にワインの原料であるブドウや、ブルーベリー、カシス、紫芋、あずきなどに含まれている。 アントシアニンには目の疲れを癒したり、目の健康を維持する働きが大きいとされている。また、他のポリフェノール同様、強い抗酸化作用により、老化防止等の作用があるとされている。 アントシアニンを摂取する際はビタミンCと一緒に摂ると抗酸化作用が5倍になるとの報告もあり、ビタミンCとの同時摂取が望ましいとされる。
III. 光独立培養技術
植物の光合成能力を助長することにより、栄養分の糖を与えずに二酸化炭素と水と光で植物を培養する方法
IV. バイオマーカー
尿や血清中に含まれる生体由来の物質で、生体内の生物学的変化を定量的に把握するための指標(マーカー)となるものを指す。特定の疾病や身体の状態などに相関して量的に変動するので、疾病の診断や効率的な治療法の確立等が可能となると言われている。
http://vegetea.naro.affrc.go.jp/press/20090119/20090119.html

京都大学の技術、海外企業へライセンス供与(2008/10/22)
 京都大学産官学連携センターは、知的財産の活用において日本国内だけではなく海外においても積極的に推進してきました。その取り組みの一環として今回、本学の発明(特許出願済)を海外企業にライセンスする契約を締結しました。

当該発明(特許出願済)について名称: 含ケイ素クロスカップリング反応剤およびこれを用いる有機化合物の製造方法
特許出願日: 平成17年4月14日
特許国際公開番号: WO 2006・112073 AI
特許出願国: 日本、米国、豪州
発明者
(1) 檜山 爲次郎 : 京都大学大学院工学研究科 教授
(2) 中尾 佳亮  : 京都大学大学院工学研究科 助教
提供資料特許ライセンスの概要 京都大学はこのたび工学研究科が開発した技術をオーストラリアの有機ケイ素化合物メーカー、Advanced Molecular Technologies Pty Ltd (AMT) にライセンス供与する契約を締結した。

 同技術は、工学研究科材料化学専攻の檜山爲次郎教授、中尾佳亮助教らの研究グループが開発したもので、医・農薬品の中間体や液晶等の原料の安価な合成法への適用が期待されている技術である。本技術は毒性が低く入手容易な有機ケイ素化合物をパラジウムなどの触媒により有機ハロゲン化物とクロスカップリングさせて合成するもので、環境にやさしい有機合成法としても注目されている。

 AMT社は10月よりまず試薬ベースで本有機ケイ素反応剤のサンプル出荷を開始する予定。AMT社は現在、日米に販売チャンネルを持っており、日本では重松貿易株式会社を通じて独占的に販売される。すでに大手製薬メーカーなどから引き合いがあり、今後いろいろな医薬中間体の合成ルートとしての評価が始まる。また液晶材料の合成などへの利用も期待されている。

 今回のライセンス供与契約は産官学連携センターが推進する、大学技術の産業界への技術移転の一環として成立したもの。産官学連携センターでは特にここ1年は日本国内だけではなく国際的な事業にも積極的に取り組んできており、今回の契約成立はその成果のひとつである。

(補足資料) ライセンス対象となる京大技術の特徴「ライセンス供与された技術」

 有機ケイ素化合物をパラジウムなどの触媒により有機ハロゲン化物とクロスカップリングする上記の合成方法はこれまでにも檜山クロスカップリング反応としてよく知られていたが、有機ケイ素化合物の安定性や、フッ化物の併用の必要性などに問題があった。檜山教授、中尾佳亮助教らは、ケイ素上に分子内活性化に供することができる水酸基を有する反応剤を用いることで、従来に比べてきわめて穏和な条件下でクロスカップリング反応をおこなうことに成功した。このケイ素反応剤は反応後回収・再利用をおこなうことでき、またケイ素上をすべて有機基で置換しているため極めて安定で長期保存が可能である。

 従来、医薬品の中間体や液晶等の原料として用いるビアリール系化合物の合成には有機ボロン酸と有機ハロゲン化物とをパラジウムなどの触媒によりカップリングさせる反応がよく知られており、実用的にも利用されていたが、量産化には副生するホウ酸塩の処理などに課題が残っていた。檜山教授らが発明したビアリールの合成方法は穏和な条件で反応をおこなうことができ、またケイ素反応剤が再利用できる点で環境にもやさしく、経済的である。さらに有機ボロン化合物を用いるカップリング反応では合成できない化合物でも檜山教授らが開発した有機ケイ素化合物を使えば合成できるものが多々あり、本技術の医薬中間体や液晶の材料製造への幅広い応用が期待されている。

【用語説明】

クロスカップリング反応
 カップリング反応とは2つの化学物質を選択的に結合させる反応のこと。とくにそれぞれの物質が比較的大きな構造(ユニット)をもっているときに用いられることが多い。2つのユニットの構造が同じ場合はホモカップリング、異なる場合はクロスカップリング(またはヘテロカップリング)という。近年はとくに触媒量の遷移金属化合物存在下で有機金属化合物あるいは不飽和化合物が、有機ハロゲン化物と縮合するカップリング反応がいろいろと知られてきており、天然物合成などで多用される。

細胞膜の「輸送体」が物質を輸送する巧妙な仕組みを解明(2008/10/17)
 JST基礎研究事業の一環として、京都大学 大学院医学研究科の岩田 想 教授は、独立行政法人 理化学研究所、インペリアル大学、リーズ大学との共同研究で、細胞の物質輸送に関わるヒダントイン輸送体(Mhp1)について、X線結晶構造解析(注1)に成功しました。さらにガラクトース輸送体の構造と比較することによって、細胞の物質輸送を担う輸送体一般に共通な輸送機構の分子メカニズムの一端を解明しました。
 生物を構成する細胞は細胞膜によって内と外に隔てられ、生命の維持のために細胞膜を介して様々な物質のやりとりをしています。細胞膜には輸送体と呼ばれる多種の膜たんぱく質が存在し物質の輸送を担っています。輸送機構としては、輸送路に入った物質を輸送体の中央付近にあたる部位に結合し、その部位の両端にあるゲートを交互に開閉して輸送を行うという「アルタネイティングアクセスモデル」が提唱されています。しかしながら、その分子メカニズムについてはあまり理解が進んでいませんでした。
 本研究で用いたMhp1は、ミクロバクテリウム(Microbacterium liquefaciens)という細菌から分離されたもので、核酸塩基-陽イオン共輸送体ファミリーに属します。この輸送体はアミノ酸の前駆体(注2)を輸送する役割を担っていると考えられています。本研究では、細胞外からの輸送物を待ち受ける状態の構造と、取り込んだ輸送物を輸送体の中央付近に結合した状態の構造を明らかにしました。Mhp1の構造は、ヒトの神経伝達物質(注3)輸送体、および小腸において糖の取り込みを行うナトリウム依存性グルコース輸送体と類似の構造をとっていることがわかりました。2つのヒトの輸送体の構造はやはり細菌由来の類似輸送体であるロイシン輸送体およびガラクトース輸送体の構造から推定されています。ガラクトース輸送体では、輸送体の中央付近から細胞内に面した輸送路へ輸送物を送り出す直前の状態の構造が報告されています。これらの構造を比較検討することで、輸送体における「アルタネイティングアクセスモデル」の分子メカニズムの一端が明らかになりました。
 本研究成果は、ヒトにも普遍的に存在する輸送体に共通な輸送機構の分子メカニズムについて、その一端を解明した極めて重要な成果で、ひいては輸送機構の異常がもたらす病態の解明や、それに基づく診断・創薬・治療に役立つものと期待されます。

<研究の背景と経緯>
 細胞は生命の維持のため、外界と細胞内との間で物質の輸送を行っており、細胞膜に存在する輸送体等がその輸送に大きく関与しています。輸送体はエネルギーを必要とする能動輸送体と、エネルギーを必要としない受動輸送体に分けられます。能動輸送体には、光などのエネルギーを用いて物質を輸送する一次性能動輸送体や、一次性能動輸送により蓄積されたエネルギーを用いて物質を輸送する二次性能動輸送体があります。二次性能動輸送体は、共役するイオンと物質の輸送の方向に基づいて共輸送体や逆輸送体等に分類されています。
 これらの各種輸送体に共通な輸送機構として、「アルタネイティングアクセスモデル」が提唱されています。このモデルでは、輸送体の中心に輸送物(基質)の結合する位置があり、細胞外と細胞内をつなぐ輸送路の両側にゲートが存在します。2つのゲートが交互に開閉することにより、基質の輸送を行うと考えられています。輸送体は細胞において普遍的に存在する極めて重要な膜たんぱく質であり、輸送体の立体構造の解析、およびその結果に基づいた分子レベルでの輸送機構の解明が期待されています。一部の一次性能動輸送体では、様々な構造解析の結果に基づいて輸送機構の研究が進んでいます。一方、二次性能動輸送体では、ラクトース透過酵素(注4)やその類縁体で生化学的・構造生物学的な研究が行われていますが、分子メカニズムに関する理解は進んでいません。輸送体はその他の膜たんぱく質と同様に疎水性の高い脂質二重膜に埋もれているので疎水性に富んでおり、そのために結晶化が難しく、立体構造の解明を阻んでいることがその理由にあげられます。
 本研究で用いたヒダントイン輸送体(Mhp1)は、ミクロバクテリウム(Microbacterium liquefaciens)という細菌から分離され、アミノ酸の前駆体であるベンジルヒダントイン等の取り込みを媒介すると考えられています。Mhp1は、核酸塩基やその関連化合物の再生経路に必須である、核酸塩基-陽イオン共輸送体ファミリー(NCS1ファミリー)に属し、細菌、古細菌、真菌や植物に広く分布しています。本研究では、二次性能動輸送体の分子メカニズムを解明するために、この輸送体の構造解析に取り組みました。その構造を解いてみると、Mhpは神経伝達物質ナトリウム共輸送体ファミリー(NSSファミリー)のロイシン輸送体(LeuTAa)や溶質ナトリウム共輸送体ファミリー(SSSファミリー)に属するガラクトース輸送体(vSGLT)と類似の構造であることが明らかになり、輸送体一般に共通な輸送機構の分子メカニズムの一端を解明することが可能となりました。

<研究の内容>
1.構造決定
 基質の結合していないMhp1は、2.85オングストロームの解像度で構造解析されました。基質であるベンジルヒダントインと結合したMhp1の構造は、4オングストロームの解像度でしたが、明瞭に基質の結合の位置やその近傍の構造変化を観察することができました。

2.基質の結合していない構造
 輸送体は12本の膜貫通へリックス(らせん構造をとったペプチド鎖)で外向きキャビティー(空洞)を有していました(図1)。N末端の5本のヘリックス(TM1~5)と次の5本のヘリックス(TM6~10)の2つの領域が対向する形をとっていました。2つの繰り返し領域は絡み合っており、4本のヘリックス(TM1、TM2、TM6、TM7)が束となって中心となる核を形成し、その周囲を残りの6本のヘリックスから成る層が囲んでいました(図1A~C)。図1B、1Cでは、推定された基質が結合する位置を示すために、外向きキャビティーの底にベンジルヒダントインを示してあります。2本のヘリックス(TM11、TM12)およびC末端部分の機能は不明です。Mhp1の特徴的な対向する2つの領域は、1次配列上の類似性が低いLeuTAaやvSGLTの構造と類似していました(図2)。

3.基質の結合した構造
 Mhp1と基質との複合体の構造では、LeuTAaにおけるロイシンの結合部位やvSGLTにおけるガラクトースの結合部位の近傍に相当する位置に、ベンジルヒダントインが確認されました(図2)。外向きキャビティーは、ヘリックスTM10が途中から折れ曲がることにより、外側のゲートが閉じた構造となっていました。これは、基質が細胞外に戻らないように、また不用な物質が細胞内に入らないようにする仕組みと考えられます。

4.陽イオンの結合部位
 基質の結合していない構造では、基質結合部位の近傍でヘリックスTM1が折れ曲がった部分に、ナトリウムの結合している陽イオン結合部位が見いだされました。興味深いことに、陽イオン結合部位には酸性残基は存在せず、ヘリックスの双極子モーメント(注5)の効果によって、この結合部位が形成されていると考えられます。

5.基質の輸送機構
 「アルタネイティングアクセスモデル」には、図3に示したように、4つの主な状態が存在します。(1)基質を待ち受ける「外向きで開いた状態」、(2)基質を取り込んで「外向きで閉じた状態」、(3)基質を放出する前の「内向きで閉じた状態」、(4)基質を放出した「内向きで開いた状態」です。(1)はMhp1の基質の結合していない構造に、(2)はMhp1の基質の結合した構造に、(3)はvSGLTで報告された構造に対応しています。本研究とvSGLTの構造と比較することにより、膜の外側からの取り込み、膜の外側から内側への運搬の様子が明らかになりました。図3に模式化したように、細胞外側や内側に面した輸送路、基質結合サイトの両端のゲートの開閉は、ヘリックスの動きに制御され、大きな構造変化を伴った巧妙な仕組みで物質が運搬されます。

<今後の展開>
 近年の輸送体のX線結晶構造解析の結果は、輸送機構の分子メカニズムの解明に画期的な進歩をもたらしました。本研究で得られた構造に加え、さらにMhp1の「内向きで閉じた状態」と「内向きで開いた状態」の構造の解析などを通じて、より詳細な輸送体の分子メカニズムを解明したいと考えています。また、その他の多くの輸送体の構造解析を実施し、輸送体が関わる生理機能、役割、またその異常による病態の解明に寄与することを目指します。

<用語解説>
注1)X線結晶構造解析
 X線の回折の結果を解析して、結晶内部で原意がどのように配列しているかを決定する手法。良質の結晶を得ることが重要である。

注2)前駆体
 ある化学物質(例えばアミノ酸)について、その物質が生成する前の段階の物質。

注3)神経伝達物質
 神経伝達においてシナプスでシグナル伝達に介在する物質。

注4)ラクトース透過酵素
 ラクトース(乳糖)分解系に関与する酵素の1つで、ラクトースの細胞膜の透過を担う酵素。ヒトの糖尿病に関係するグルコース輸送体の類似するたんぱく質である。

注5)双極子モーメント
 一対の正負の同じ大きさの電荷等が存在する時、負の電荷等から正の電荷等への方向ベクトルのことをさす。

<掲載論文名>
 "Structure and molecular mechanism of a nucleobase-cation-symport-1 family transporter"
 (核酸塩基-陽イオン-共輸送-1ファミリー輸送体の構造と分子メカニズム)

国際チームがナメクジウオゲノムの解読に成功 - 脊椎動物の起源が明らかに - 論文掲載誌:Nature 6月19日号(2008/6/19)
 国立大学法人 京都大学、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所、独立行政法人 理化学研究所は、米国JGI(連合ゲノム研究所)、スクリプス研究所、オックスフォード大学など5カ国、18研究機関との共同研究でナメクジウオ(Branchiostoma floridae)のゲノム解読に成功しました。この国際プロジェクトは、佐藤矩行(さとう のりゆき)京都大学教授をリーダーの一人として企画され、国内では文部科学省科学研究費特定領域研究「ゲノム4領域」の支援を得て実施されたものです。この成果は、6月19日発行の英国科学誌Nature(ネイチャー)誌に掲載されます。

 ナメクジウオは脊索動物の一種、頭索動物に分類される生物で、熱帯と温帯に広くに生息し、約30種類が記載されています。日本近海にはこれまでに3種類が確認されていますが、様々な地域集団が存在すると予想されています(参考文献:安井、窪川)。
 ナメクジウオはヒトなど脊椎動物の祖先と考えられ(脊椎動物は脊索動物に含まれます)、古くから研究の対象となっていました。脊椎動物がどのように進化してきたのかという問題について、これまでは、脊索動物の中で一番最初に現れたのがホヤの仲間(尾索類)で、次にナメクジウオの仲間(頭索類)、そして脊椎動物が現れたと考えられていました。また、脊椎動物の進化に伴って全ゲノムの重複が2回おこり、それが複雑な体づくりを可能にしたのではないかという大野らの提案もありました。
 今回のナメクジウオゲノムの解読は、脊椎動物の進化についてダーウィンの進化論発表以来の懸案となっていた問題を一気に解決し、脊索動物の進化と脊椎動物の起源を明らかにするものです。この成果をもとに脊索動物、脊椎動物の進化についての研究が飛躍的に発展することが期待されます。

■成果の概要
(1)本研究では、ナメクジウオ全ゲノム約5億塩基対の配列を決定し、その中におよそ21,600個の遺伝子を見つけました。ナメクジウオゲノムはヒトゲノムの約6分の1の大きさですが、ヒトの遺伝子組成ととてもよく似ていることが明らかになりました。今回のゲノム解読には単一個体の精子から抽出したDNAを用いたのですが、同じ個体に含まれる二組のゲノムの間に3.7%の塩基の違い(1塩基多型、SNP)が見つかり、これに挿入・欠失の違い6.8%を加えると、多型を示す領域がゲノム全体の10.5%を占めることがわかりました。この割合は、これまでに調べられた生物種の中では最高の値です。同一地域で繁殖し、種としての集団を保っている生物のゲノムが、このように大きな多型性を示すことが初めて明らかにされたことにより、生物の進化と種の確立、集団としての繁殖と種の維持といった、生命現象の根幹に関わる新しい問題を提起するものです。

(2)次にナメクジウオゲノムは脊椎動物への進化の痕跡を非常によく残しており、染色体上における遺伝子の並び順(シンテニー)がナメクジウオと脊椎動物のゲノム間で非常によく保存されていることが明らかになりました。これは、脊椎動物の起源を考える上で非常に重要な情報です。ナメクジウオの染色体上における遺伝子の並びをより詳細に解析することにより、脊索動物染色体の基本型ともいうべき17本の染色体構成を明らかにすることにも成功しています。既にゲノム解読が報告されている尾索動物のホヤでは大規模なゲノムの再構成と脱落がおきているため進化的な解析が困難でした。

(3)シンテニーの解析から、ナメクジウオゲノムの1箇所の染色体断片が脊椎動物ゲノム内での4箇所の染色体断片に対応することが多いことがわかり、脊椎動物の進化に伴ってゲノムレベルでの重複が2回おこったことが初めて確実に証明されました。

(4)また、今回のゲノム解読から明らかになった遺伝子のうち1090個について比較解析研究を行うことにより、脊索動物の中でナメクジウオが最も初期に進化したことがわかりました。ゲノム全体を対象とした網羅的な解析が行われたことにより、ほぼ完全な証明が得られたものです。このため、より原始的な脊索をもたない動物との進化関係を非常にうまく説明することができるようになりました。
 本研究による全ゲノム比較により、尾索動物、頭索動物と脊椎動物という3つの脊索動物グループ間について曖昧だった関係を明確にし、またこれら脊索動物の共通の祖先の特徴を明らかにできたのです。まさに脊椎動物の起源に大きな一石を投じた研究成果といえるでしょう。

(5)本プロジェクトを遂行してゆくにあたり、多型性の大きなゲノムについて全配列の解読を可能にするバイオインフォマティクスの新しい手法も開発されています。ナメクジウオゲノム情報は、米国ではJGI(http://genome.jgi-psf.org/Brafl1/Brafl1.home.html)からオンライン提供されており、国内では国立遺伝学研究所で運用されている日本DNAデータバンク(DDBJ:http://www.ddbj.nig.ac.jp)から公開される予定です。

イオン輸送性ATPaseの輸送のメカニズムの一端を解明 ~骨粗鬆症やがん治療の理解に役立つ可能性~(2008/6/17)
 JST基礎研究事業の一環として、京都大学 医学研究科の岩田 想 教授と村田 武士 助教らは、独立行政法人 理化学研究所 生命分子システム基盤研究領域の横山 茂之 領域長らとの共同研究で、細菌内でナトリウムイオン輸送をする酵素「V型ATPase」(注1)について、ローターリング(注2)(図1 *関連資料参照)と呼ばれる部分の立体構造や性質を明らかにしました。リチウムイオンが結合した状態でX線結晶構造解析(注3)にも成功、V型ATPaseの選択的なイオン輸送メカニズムの一端を解明しました。

 V型ATPaseは細胞核を有する細胞(真核細胞)の多くの細胞小器官の膜に存在し、プロトン輸送を行います。一方、細菌の一種、腸内連鎖球菌(Enterococcus hirae)のV型ATPaseは、真核細胞のものとよく似ていますが、プロトンでなくナトリウムイオンを輸送する特徴を持っています。ナトリウムイオンは、X線結晶構造解析や放射性同位体(注4)を用いた実験において、プロトンより検出しやすいという有利な点があります。そのため、村田 助教らはこれまで、腸内連鎖球菌のV型ATPaseを用いて研究を行い、ナトリウムイオンと強く結合するローターリングの構造を明らかにしました。

 本研究により、ローターリングには、ナトリウムイオン以外にリチウムイオンやプロトンが強く結合することが分かりました。また、ナトリウムイオンがローターリングに結合・解離する速度は、酵素そのもののそれより極めて遅いことも分かりました。このことは、ローターリングからナトリウムイオンが解離をする際に、酵素のローターリング以外の部分が重要な役割を担っていることを示唆するものです。

 本研究結果は、真核生物(注5)のプロトン輸送のメカニズムを解明する上で極めて重要な成果で、ひいてはV型ATPaseがもたらす疾病の理解や治療に役立つものと期待されます。

 本研究成果は、米国科学雑誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」の電子版で2008年6月16日の週(米国東部時間)に公開されます。

 本成果は、以下のJSTの事業・研究プロジェクトと、文部科学省タンパク3000プロジェクトおよびターゲットタンパク研究プログラムによって得られました。

 戦略的創造研究推進事業 ERATO型研究
 研究プロジェクト : 「岩田ヒト膜受容体プロジェクト」
 研究総括 : 岩田 想(京都大学 大学院医学研究科 教授)
 研究期間 : 平成17~23年度

 JSTはこのプロジェクトで、医薬の主要なターゲットでありながら構造解析の非常に困難なヒト膜たんぱく質、特に膜受容体のように極めて疎水的な膜たんぱく質の構造解析のための普遍的な技術の確立を目指しています。

<研究の背景と経緯>
 酵素の一種であるV型ATPaseは真核生物の多くの細胞小器官の膜(例えば小胞の膜)に存在するほか、破骨細胞やがん細胞、尿細管を形成する細胞の細胞膜にも存在します。V型ATPaseの構造は複数のサブユニットからなる複合体で、主として膜外にある部分をV1、主に膜内にある部分をVoと呼んでいます(図1 *関連資料参照)。V1はATPで駆動するたんぱく質モーター部分です。Voはモーターのエネルギーで回転する車軸と車輪部分で、回転の際にプロトンを輸送します。車輪の部分は10個のユニットから構成されており、ローターリング(車輪のような部分)と呼んでいます。膜の外から中へプロトンが輸送されると、細胞内や小胞内のpHは酸性に傾きます。V型ATPaseの機能異常は、骨粗鬆症やがん、大理石病(注6)、難聴、尿細管性アシドーシス(注7)などの疾病に関係していることが報告されています。V型ATPaseは生理学・医学的にも重要な酵素でありながら、どのようにプロトンを輸送するかに関して解明が進んでいません。

 一方、高い塩濃度または強アルカリ環境で暮らすある種の生物は、ナトリウムイオンを輸送する機能を持つように進化しています。村田 助教らはこれまで、腸内連鎖球菌(Enterococcus hirae)のV型ATPaseを発見し、生理的な条件で、ナトリウムイオンやリチウムイオンを輸送することを明らかにしました。このV型ATPaseは真核生物のV型AT Paseと構造や機能が類似しているので、真核生物の輸送メカニズムを研究する際にモデルとして利用することができます。2005年に、ナトリウムイオンが結合したローターリングの立体構造を報告しました(図2 *関連資料参照)。本研究では、リチウムイオンが結合したローターリングの立体構造を解明するとともに、ローターリング単独のイオンの結合・解離の性質を調べました。

<研究の内容>
1.放射性同位体のナトリウムイオンを用いたローターリングへの結合・解離実験
 精製したローターリング1つに対して、ナトリウムイオンが10個程度結合することが明らかになりました。その結合解離の速度は酵素全体への速度に比べて非常に遅いことが分かりました。

2.プロトンの結合
 酵素全体を用いた以前の研究では、プロトンとの結合を確認することはできていませんでした。ローターリングを用いた実験で、ナトリウムイオンとプロトンの間に競合的な阻害が観察されたことから、ローターリングはナトリウムイオンと同じ結合部位で、プロトンと結合することが示唆されました。

3.リチウムイオンの結合
 リチウムイオンは、ナトリウムイオンに比べて5分の1の結合活性を有していました。また、リチウムイオンを除いて各種の金属イオン(カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなど)は、ローターリングと結合しないことが分かりました。

4.リチウムイオンが結合したローターリングの立体構造
 ローターリングをリチウムイオン存在下で蒸気拡散法(注8)によって結晶化しました。そして、2.8Aの解像度で得られたX線回折データは、ナトリウムイオンが結合したローターリングの構造をもとに、分子置換法(注9)を用いて構造解析を行いました。リチウムイオン結合型のローターリングの基本構造は、ナトリウムイオン結合型のものと同じく10個のサブユニットから構成されており、対称性のある美しい形をしていました。リチウムイオンはリングの各々のサブユニットの側面中央に結合し、かつリチウムイオンはナトリムイオンより小さいことから、イオンの周囲のアミノ酸残基がイオンに近づいた構造を有していました(図3 *関連資料参照)。

<今後の展開>
 V型ATPaseは、モーター、車軸、車輪などからなる装置で、分子機械といえる複雑で精緻な構造を有しています。ATPの加水分解の際に生じるエネルギーを利用し、車輪を回転します。車輪は10個のパーツに分かれ、それぞれのパーツに、ナトリウムイオンが結合できる場所を持っていることが分かっています。車輪が少し回転すると、結合していた場所からナトリウムイオンが解離し、膜中のイオンの輸送路を通って、膜の内側へ移動すると考えられています。イオン輸送のメカニズムはまだ解明されていませんが、いくつかの説が提唱されています。

 本研究成果により、ローターリング部分では酵素そのものより放射性同位体ナトリウムイオンの結合・解離の速度が極めて遅いことが明らかになりました。これは、酵素のローターリング以外の部分に、ナトリウムイオンの放出を加速する仕組みが隠されていることを意味します。イオン輸送の際にイオンの結合・解離は、膜内V1部分(Iサブユニット)にイオン輸送路があって、この部分とローターリングの境界面で起こるものと推測されます。V型ATPase全体の立体構造がさらに詳細に分かれば、イオン輸送メカニズムの解明が一層進むと考えられます。細菌のナトリウムイオン輸送のメカニズムの研究成果によって、真核生物のプロトンの輸送に関するメカニズムの解明が進み、真核生物のV型ATPaseがもたらす疾病の理解や治療に役立つものと期待されます。

<用語解説>

注1)V型ATPase
 細胞核を有する細胞(真核細胞)の多くの細胞小器官の膜に存在するほか、破骨細胞やがん細胞などの細胞膜にも存在する。ATPのエネルギーを使ってプロトンを輸送する。また、細菌の細胞膜にも存在し、プロトンまたはナトリウムイオンを輸送する。

注2)ローターリング
 回転機構を有するV型ATPaseなどの酵素で、回転する膜内在性リング部分を指す(図1参照 *関連資料参照)。

注3)X線結晶構造解析
 X線の回折の結果を解析して、結晶内部で原子がどのように配列しているかを決定する手法。質の高い結晶を得ることが大事である。

注4)放射性同位体
 ラジオアイソトープとも呼ばれ、構造が不安定なため時間とともに放射性崩壊していく核種。今回使用したものは、ナトリウム22。

注5)真核生物
 構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる構造を有する生物。

注6)大理石病
 遺伝子の異常で破骨細胞が機能しなくなる病気。古い骨が蓄積したまま新しい骨が形成されるので、骨の密度が高まる。X線撮影では大理石状の白い像が映る。

注7)尿細管性アシドーシス
 尿細管がうまく機能しなくなり、血液から酸を取り除いて尿に排出できなくなる。血液の酸性度が上昇し、身体にさまざまな異常を生じる。

注8)蒸気拡散法
 結晶化方法の1つ。少量の沈殿剤を溶かしたたんぱく質水溶液の水滴(ドロップ)と高濃度の沈殿剤水溶液を用意し、ひとつの閉鎖空間内に直接接触しないよう封入する。このドロップから発生する水蒸気が高濃度の沈殿剤水溶液へ徐々に移動するに伴って、ドロップ中のたんぱく質と沈殿剤の濃度が上昇し、やがて結晶化する。

注9)分子置換法
 X線の回折のデータ解析法の1つ。既に解かれた構造を利用する。

<掲載論文名>
 "Ion binding and selectivity of the rotor ring of the Na+-transporting V-ATPase"
 (ナトリウムイオンを輸送するV型ATPaseのローターリングのイオン結合とその選択性のメカニズム)

研究室取材 病態機能分析学分野(2008/5/22)
薬系進学2008で取材。
時代の最先端、分子イメージングの研究。生体機能や病態、薬理作用まで可視化を可能にしたといいます。
http://yakkei.jp/contents/links/kyoto-byotai.pdf

iPS細胞研究成果の社会還元を図るための事業について(2008/5/16)
 京都大学iPS細胞研究センター長山中伸弥教授をはじめとするiPS細胞研究の成果を社会に還元するためには、産業界への技術移転が不可欠であります。また、産業界への技術移転を促進するためには、大学における関連する知的財産の管理・活用体制の強化が極めて重要であるとともに、強固な知的財産リスクへの対応も大きな課題となっていました。

 このため、京都大学は、これらの諸課題に柔軟に対応するための方策を、株式会社大和証券グループ本社、株式会社三井住友銀行及び、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社の3社と鋭意検討を重ねてきましたが、このたび、iPS細胞研究に係る発明の円滑かつ適切な管理・活用と、その事業化を通じた研究成果の社会還元・社会貢献を図ることについて合意に至りました。

 本合意の主な内容は、
 ・4者が合意した事業を管理する会社(事業準備会社)として有限責任中間法人を設立し、京都大学の理事及び教員の数名を社員として派遣する。
 ・次に、事業準備会社である有限責任中間法人は、実際に知的財産権を管理・活用する知的財産権管理・活用会社を設立し、iPS細胞に係る事業化を進める企業等に対して通常実施権をサブライセンスする業務を行わせ、iPS細胞に係る研究成果の社会還元・社会貢献の推進を図る。
こととしています。

 なお、株式会社大和証券グループ本社、株式会社三井住友銀行及びエヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社から、事業準備会社及び知的財産権管理・活用会社に対する資金支援の合意を得ています。

 本事業に係る現在までの活動及び、今後の予定は次のとおり。
 ・平成20年5月 2日 事業準備会社として「有限責任中間法人iPSホールディングス」を設置
 ・平成20年5月15日 本件に係る最終合意
 ・平成20年6月    知的財産権管理・活用会社を設立、事業開始予定

シイクワシャー果皮エキスの抗メタボリックシンドローム作用 内臓脂肪型肥満に対する有用性をヒトで確認(2007/7/19)
 アークレイは、沖縄で栽培されている柑橘であるシイクワシャーの果皮エキスが内臓脂肪型肥満のヒト血中アディポネクチンを増加させ、メタボリックシンドロームや動脈硬化性疾患の予防に有用である可能性を見出した。その研究成果を第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会(7月13日~14日開催)にて発表した。  アークレイは、国内大手の臨床検査機器と体外診断薬のメーカーで、糖尿病患者が使用する血糖自己測定機では国内シェア60%を占めている。健康科学という独自の事業領域を設定し、2006年6月には機能性素材事業への参入を果たしている。  当社はこれまで柑橘類に含まれる機能性成分について研究を進めてきた。特に沖縄で栽培されているシイクワシャーに多く含まれるノビレチンについて培養細胞およびマウスを用いた研究から、アディポネクチンの増加作用を確認していた。  このたび、内臓脂肪型肥満のヒトへのシイクワシャー果皮エキスの摂取試験(ダブルブラインド並行群間比較試験)を、京都大学大学院、生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)、京都市立病院との共同研究にて実施した。  その結果、シイクワシャー果皮エキス摂取群では血中アディポネクチンが有意に増加することを確認した。以上の結果から、シイクワシャー果皮エキスはメタボリックシンドロームや動脈硬化性疾患予防に有用である可能性を見出した。

世界で初めて卵巣由来の幹細胞分離に成功(2007/7/17)
 理化学研究所は、京都大学、東京農業大学、および東京大学と協力して、マウスの卵巣内で性ホルモンをつくっている「きょう膜細胞」の幹細胞を世界で初めて分離し、体外でふやすことに成功した。
 生き物にとって“生殖”は、子孫を残し、種を維持させるためにとても大切な営みのひとつである。しかし、生殖を担う精子と卵子がどのようにして形作られていくかに関しては、不明な点が多く残されている。精子を作り出す精巣では、精子幹細胞をはじめ、いくつかの幹細胞が分離・培養されている。しかしながら卵子を作り出す卵巣からは、幹細胞が分離できなかったために、卵子の発生に関する研究が難しいと考えられてきた。
 研究グループは、卵巣由来の幹細胞の分離を進めている過程で、世界で初めて、きょう膜幹細胞の分離・培養に成功した。卵子は、卵巣中の卵胞につつまれて少しずつ発育、成熟するが、きょう膜細胞は、この卵胞内で性ホルモンを作って卵子の発育に重要な役割を果たしている。このきょう膜幹細胞の分離技術を確立するとともに、体外で性ホルモンを作ることに成功し、卵巣にきょう膜幹細胞を移植して卵胞構造を形成させることにも成功した。きょう膜幹細胞を自在に取り扱うことが可能になれば、長年ナゾであったきょう膜細胞の成り立ちや卵胞に包まれた卵子の発育を詳細に調べることが出来る。卵巣由来の幹細胞の分離・培養の成功は、実験動物を使わずに卵子を作ったり、女性の卵巣疾患の治療などに役立てたりすることも可能になることが期待できる。

次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点での協働研究実施のお知らせ(2007/7/3)
 京都大学とアステラス製薬は、「次世代免疫制御を目指す創薬医学融合拠点」による協働研究を実施することになったのでお知らせする。なお、本融合拠点は平成19年度の文部科学省科学技術振興調整費による「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」プログラムに採択されている。  現在、わが国を含む先進諸国では、アトピー、喘息、花粉症などのアレルギー疾患の罹患者は全人口の1/3を超え、加えて関節リウマチやクローン病など、免疫に関連する難病克服のための革新的新薬の創出は急務となっている。さらに、がんや、肝炎など慢性感染症の治療のための新しい免疫賦活薬に大きな期待が寄せられており、移植・再生医療など次世代医療の確立のためには安全な免疫抑制技術と創薬は不可欠となっている。  革新的な免疫制御薬に対するこうした世界的要請を背景に、京都大学とアステラス製薬は、最先端の基礎免疫学研究の成果と創薬技術の融合による、次世代の革新的免疫制御薬の創出をめざす協働研究の実施を協議してきたが、このたび、文部科学省科学技術振興調整費による「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」プログラムに採択さ

傷害を受けた網膜細胞を薬で再生する手法を発見(2007/4/11)
 理化学研究所と京都大学は、大人の網膜において、傷害後にミュラーグリア(網膜のグリア細胞)から光を感知する神経細胞である視細胞を効率良く再生する方法を開発した。
 これまでに大人の網膜は、グリア細胞から再生することは明らかになっていた。しかし、新生される細胞数は少なく、網膜の再生はごくわずかであり、実際に網膜の機能を回復できる数ではなかった。
 小坂田研究員らは、細胞増殖や分裂など多彩な機能を持つことで知られているWnt(ウィント)という分泌因子に着目し、網膜再生のメカニズムを解明し、傷害後の網膜の再生を劇的に促進することに成功した。傷害を受けた網膜にタンパク質であるWnt3aや低分子化合物であるGSK3β阻害薬を投与し、Wntシグナルを活性化することで、網膜前駆細胞数が増加し、光を感じる視細胞の新生が促進することを明らかにした。本研究の成果は、従来再生医療において考えられていた移植治療とは異なり、薬物による再生治療の可能性を示したものであり、将来の難治性神経変性疾患の予防・治療薬の開発に資する重要な知見と考えられる。

香辛料「花椒(かしょう)」が脂肪燃焼力を高める研究成果を発表(2007/3/1)
 ポーラ健康科学研究所では、京都大学大学院 人間・環境学研究科 森谷敏夫教授との共同研究で、中国で香辛料として古くから使用されている「花椒」が自律神経活動を活発にして脂肪燃焼力を高めることを発見した。この研究結果については2007年3月に富山市で開催される日本薬学会第127年会で発表する。
 中国では香辛料として古くから使用されている花椒(Zanthoxylum bungeanumの果皮)について、安静時および軽度の運動をした際の自律神経活動と脂肪の燃焼に対する影響を調べた。
 ダイエット食品市場は635億円(富士経済2006年見込)で順調に成長しており、花椒は新たな素材として期待できる。

「ファイ中間子」の質量が高密度下での減少を確認(2006/12/7)
 理化学研究所、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構、京都大学、東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターで構成される研究チームは、「ファイ中間子」の質量が原子核内部という高密度下で減少することを世界で初めて測定した。
 今回の研究により、高密度状態下での素粒子の質量減少が実験的に確立された。これは素粒子の質量獲得機構の理解に大きく貢献する実験結果。
http://www.riken.go.jp/
http://www.kyoto-u.ac.jp/