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慶應義塾大学

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炎症性腸疾患などに関与する免疫細胞の誘導メカニズムを解明 - Th17 細胞を誘導する 20 種のヒト腸内細菌の同定-(2015/9/24)
発表概要
株式会社ヤクルト本社(社長 根岸孝成)の梅﨑良則特別研究員(中央研究所)と慶應 義塾大学医学部(医学部長 岡野栄之)の本田賢也教授(理化学研究所統合生命医科学 研究センター消化管恒常性研究チームリーダー兼任)らを中心とする共同研究グループ (*)は、Th17 細胞(注 1)が腸内細菌によって誘導されるメカニズムを世界に先駈けて解 明しました。
Th17 細胞は、感染症への抵抗性、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)や、自 己免疫疾患(注 2)の病態形成に密接に関わっている免疫細胞として知られています。こ れまでに同グループは、マウスの腸内常在細菌の一種であるセグメント細菌(注 3)が Th17 細胞を誘導し、感染症抵抗性を高めることを同定していましたが、これらの細菌が Th17 細胞を誘導するメカニズムは明らかになっておらず、関連疾患の理解や治療応用 が進んでいませんでした。
今回の研究では、セグメント細菌が腸管上皮(注 4)に突き刺さるようにして強く接着して いるユニークな形態的特徴に着目し検証することで、この上皮への接着特性が Th17 細 胞の誘導に強く関与することを同定しました。この結果をもとに、ヒトの腸内細菌叢(注 5) において Th17 細胞を誘導する 20 種類の細菌の同定に成功しました。
今回の成果は、炎症性腸疾患の予見やプロバイオティクス開発への応用が期待され ます。本研究成果は、科学雑誌『Cell 』オンライン版(9月24日正午:米国東部時間)に掲 載されます。
発表内容
1. 背 景 感染症や自己免疫疾患は免疫系が強く関与している病気であり、その進行にはT細胞が
重要な役割を担っています。リンパ球の一種であるT細胞には、様々な種類の分化したT細 胞が存在しています。その中で、インターロイキン(IL)-17産生性T細胞(Th17細胞)は免疫反 応を活性化する機能を持っています。Th17細胞は病原性細菌やカビなどの感染防御に働き ます。一方で、Th17細胞は関節リウマチや炎症性腸疾患などの免疫疾患の病態にも関与す ると考えられています。このTh17細胞は、健康なマウスの腸管に多く存在し、腸内細菌によ って誘導されていることが知られています。
今回の研究に先だって 2009 年に同研究グループは、この Th17 細胞がマウス腸内常在細 菌の一種であるセグメント細菌(Segmented Filamentous Bacteria、以下 SFB と略す)によって 特異的に誘導されることを特定しました(Cell, 2009 Induction of Intestinal Th17 Cells by Segmented Filamentous Bacteria., http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21205640)。SFB は 上皮に突き刺さるように強く接着する独特な形態的特徴を持ち、健康なマウス、ラットなど 様々な脊椎動物の腸管に生息する細菌です。また、腸内感染症を引き起こす病原性細菌も Th17 細胞を誘導することが知られています。
しかしながら、これらの細菌が Th17 細胞を特異的に誘導するメカニズムは明らかになって おらず、関連疾患の理解やその治療応用が進んでいません。また、SFB はヒトの消化管には 存在しないことが知られていて、Th17 細胞を誘導するヒト腸内細菌の探索が求められていま した。
http://www.yakult.co.jp/news/file.php?type=release&id=144313875168.pdf

血中乳酸値の制御メカニズムを解明 ~敗血症などの重篤な病態に対する新しい治療法の開発へ~(2015/9/9)
心不全、敗血症などの重篤なショック状態により血中乳酸値が上昇することで引き起こされる乳酸アシドーシス注1)は、致死率が約50%と高く、早急な対応が求められる病態です。
この度、慶應義塾大学 医学部の南嶋 洋司 特任講師、壽原(すはら)朋宏 医師(大学院 医学研究科 博士課程)、菱木 貴子 専任講師、笠原 正貴 東京歯科大学 教授らのグループは、乳酸アシドーシスにつながる血中乳酸値の上昇に対して、酸素濃度センサー分子であるプロリン水酸化酵素PHD2注2)を不活性化させることによって、肝細胞がより多くの乳酸を血中から取り込むことで血中乳酸値を低下させるメカニズムを解明しました。
従来、細胞の酸素濃度センサーであるPHD2が不活性化すると、低酸素応答(利用できる酸素が少なくなった時に細胞が見せる応答反応)が活性化して、大量の乳酸が細胞から血中に放出されるとされていました。しかし、今回の研究によって、「肝細胞における低酸素応答は、乳酸の放出を亢進させるのではなく逆に乳酸の取り込みを活性化させる」という、従来の認識を覆す新たな事実を証明しました。
本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業の一環として、慶應義塾大学 医学部と米国のハワード・ヒューズ医学研究所およびハーバード大学 医学部 ダナ・ファーバー癌研究所との共同研究で行われました。
本研究成果は、2015年8月31日(米国東部時間)に米国科学雑誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」オンライン速報版で公開されました。
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr0000012oda.html
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150909/index.html

「ビフィズス菌BB536」による腸内細菌を介した 生理機能の仕組みの一端を解明(2015/8/28)
~科学雑誌『Scientific Reports』(8月28日)掲載のご報告~
ビフィズス菌は整腸作用を示すことが良く知られていますが、実際におなかの中で、どのような変化が起きているの かはほとんど明らかにされておりません。
そこで森永乳業は、理化学研究所統合生命医科学研究センターの大野博司グループディレクター、同研究所環境 資源科学研究センターの菊地淳チームリーダー、および慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任准教授 (理化学研究所統合生命医科学研究センター客員研究員)との共同研究にて、「ビフィズス菌BB536」の生理機能の機
そう 序解析に取り組み、腸内細菌叢に与える影響について評価いたしました。
その結果、「ビフィズス菌BB536」は自らが作り出す酢酸や乳酸などの有機酸や葉酸などのビタミンB群といった有用 物質に加え、ヒト腸内細菌叢と相互作用することで、ビフィズス菌以外が作る酪酸やビオチンといった有用物質の量を 増加させているという研究結果を得ました (図1)。酪酸は宿主の腸管細胞のエネルギー源になることや腸管内で抗炎 症作用を担う細胞の誘導効果を示し、ビオチンは宿主の細胞に必須のビタミンの一つであり、細胞の代謝や成熟に関 わることが示されているため、「ビフィズス菌BB536」による生理機能の仕組みの一つである可能性が考えられます。 なお、本研究成果はオンライン科学雑誌『Scientific Reports』(8月28日付:日本時間8月29日)に掲載されました。
http://www.morinagamilk.co.jp/download/index/16036/1509011.pdf

覚醒剤は仲間と摂取するとより危険 ~マウスによる実験で明らかに~(2011/4/12)
慶應義塾大学文学部心理学研究室の渡辺茂教授はマウスを用いて社会的要因が覚醒剤(アンフェタミン)に及ぼす効果を検討しました。
まず、マウスを白、灰色、黒の3区画からなる実験箱に入れて、どの区画にどのくらい滞在するかを測定しました。つぎに覚醒剤を注射してある区画に閉じ込めます。他の区画に行くことは出来ません。翌日には生理食塩水を注射して別の区画に閉じ込めます。この処置を繰り返した後、再び3つの区画を自由に移動できるようにして滞在時間を図ると、覚醒剤を注射された区画への滞在時間が長くなりました。つまり覚醒剤が好きになってしまったのです。今度は同じケージにいる仲間と一緒に覚醒剤の注射を受けるようにします。すると覚醒剤注射の区画での滞在時間がさらに長くなりました。つまり社会的促進によって覚醒剤がもっと好きになってしまったのです。さらに、自分が覚醒剤の注射を受ける時には仲間が生理食塩水の注射、自分が生理食塩水の注射の時は仲間が覚醒剤の注射を受けるようにしました。すると先ほどの社会的促進は見られなくなります。また、面白いことに自分は生理食塩水の注射を受け、覚醒剤を注射された仲間と一緒にされた区画への滞在時間は少なくなることがわかりました。これは覚醒剤を注射されていないマウスは覚醒剤を注射されたマウスと一緒にいることを好まないことを示唆します。このように、覚醒剤の効果は仲間との共同摂取で増強され、耽溺や依存への危険性が増すことが分かりました。
この実験はBehavioral Pharamacology22巻3号に5月13日に掲載される予定ですが、電子版ではすでにアクセス可能です。
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2011/kr7a43000005ws4r-att/110412.pdf

脳内アミノ酸による運動記憶と学習の仕組みを解明(2011/4/1)
JST課題解決型基礎研究の一環として、慶應義塾大学 医学部の柚﨑(ゆざき)通介教授と掛川渉助教らは、マウスの幼若期に習得される運動記憶と学習の新しい形成メカニズムを解明しました。
神経細胞は「シナプス」と呼ばれる結び目を介して互いに結合して神経回路を形成しています。記憶と学習はシナプスにおける変化として蓄えられることから、そのメカニズムの解明が神経科学の重要課題の1つとなっています。記憶にはさまざまな種類があり、人のスポーツや楽器演奏活動などの運動技能に関連した記憶は、小脳の神経回路が関与します。しかし、小脳シナプスにおいて記憶を制御する分子機構については不明な点が多く、例えばどうして年齢とともに運動学習能力が低下するのかはよく分かっていません。
本研究グループはこれまでに、マウスを使った研究で神経細胞が分泌するたんぱく質Cbln1(シービーエルエヌ1)がデルタ2型グルタミン酸受容体(デルタ2受容体)に結合することにより、小脳におけるシナプス形成を制御することを発見していました。さらに今回、マウスの幼若期の小脳に豊富に存在するアミノ酸「D-セリン」がデルタ2受容体に結合することにより、シナプスでの運動記憶・学習を促進することを、実験で明らかにしました。実際にD-セリンがデルタ2受容体に結合できない遺伝子改変マウスを作製・解析したところ、幼若期での運動記憶・学習能が著しく低下していました。D-セリンとデルタ2受容体との結合モデルは、人にもあてはめられると考えられています。この発見は、人の幼児期での運動記憶・学習過程を理解する上で有用な知見を与えるものです。また、デルタ2受容体は生涯を通じて発現しており、D-セリンの経路を制御することによって、将来、大人でも効率的に運動学習を促進させうる可能性があります。
本研究成果は、2011年4月3日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Neuroscience」のオンライン速報版で公開されます。
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2011/kr7a43000005q9ql-att/110401.pdf

癌幹細胞マーカーCD44が活性酸素を抑制することによって 腫瘍の増大や治療が効かない状況を引き起こす分子メカニズムを解明(2011/3/15)
慶應義塾大学 先端医科学研究所 遺伝子制御研究部門(責任者:佐谷 秀行 教授)の永野 修 助教、石本 崇胤 研究員らの研究グループは、慶應義塾大学 医学部 医化学教室(責任者:末松 誠 教授)、金沢大学がん研究所 腫瘍遺伝学研究分野の大島 正伸 教授、近畿大学薬学総合研究所の益子 高 研究員、熊本大学 大学院生命科学研究部 消化器外科学教室の馬場 秀夫 教授らとの多施設共同研究によって、癌幹細胞表面マーカーである接着分子CD44がシスチントランスポーターと結合することで癌細胞内の活性酸素(Reactive oxygen species;ROS)の蓄積を抑制し、腫瘍の増大と治療抵抗性を促進する分子機構について解明しました。今回の研究成果を基に、治療抵抗性を有する癌幹細胞をターゲットとした新たな治療法の開発が期待できます。なお本研究の一部は、JSTの事業の一環として行われました。

この研究成果は2011年3月14日(米国東部時間)、国際的な医学雑誌「Cancer Cell」2011年3月号オンライン版に掲載される予定です。

※リンク先や写真、添付資料があります。詳細は下記URLをご覧ください。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20110315/index.html

腸における炎症を抑える新しいメカニズムを発見(2011/2/9)
JST 課題解決型基礎研究の一環として、慶應義塾大学 医学部の吉村 昭彦 教授らは、腸などの消化器における新たな免疫調節機構を解明しました。腸内には大腸菌などの腸内細菌が大量に存在しますが、それにもかかわらず炎症が起きないメカニズムは、これまで十分に解明されていませんでした。

本研究グループは今回、モデルマウスを用いて腸内における新しい炎症抑制システムを発見しました。その本体はプロスタグランジンE2(PGE2)注1)と呼ばれる生理機能脂質で、マクロファージなどの免疫細胞に作用して炎症を強力に抑制します。PGE2システムは、これまでに知られている抑制性T細胞(Treg)注2)による炎症抑制システムとは全く独立して存在することが分かりました。自然免疫を担うマクロファージや樹状細胞注3)は、腸内細菌などの感染によってTNFαやインターロイキン12(IL-12)などの炎症性サイトカインと呼ばれるたんぱく質を放出することで炎症を誘導、促進しますが、PGE2は腸上皮で常に産生されていて、これらのサイトカインの産生を抑制していました。しかし過大な感染や強い炎症時にはこの抑制システムが破綻するため、サイトカインシグナル抑制因子1(SOCS1:ソックス-ワン)注4)と言う遺伝子が防護していることも明らかになりました。

これらの発見は、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の発症機構の解明に貢献するもので、新たな治療法の開発につながるものと期待されます。

本研究成果は、2011年2月8日(英国時間)に英国オンライン科学雑誌「Nature Communications」で公開されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20110209/index.html

脳の非対称性は正常な記憶機能に欠かせい(2010/11/19)
慶應義塾大学の渡辺茂教授のグループは、九州大学の伊藤功准教授のグループと共同で、脳の非対称性に異常のある(左右の脳がともに右脳の性質を示すように変化した)突然変異マウスでは、空間性の記憶機能が障害されることを明らかにしました。これらの結果は、脳の左右の非対称性が正常な記憶機能に欠かせないことを示唆しています。

九州大学の伊藤功准教授のグループは、マウスの記憶を司る海馬という脳の部位が、正常なマウスでは左右の脳で異なる性質を示すのに対して、この突然変異マウスでは左右どちらの脳も右型の性質を示す(右側異性)ことを発見しました。今回の研究では新たに、そのような脳機能の非対称性が、正常な記憶機能には欠かせないものであることが分かりました。

本研究成果は、online科学誌「PLoS ONE」に平成22年11月17日付けで掲載されました。
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2010/2010-11-19.pdf

マウス胎仔の実験で心臓の形態形成に欠かせないIP3レセプターの役割を解明 -先天性心疾患の原因解明や予防に前進-(2010/8/30)
慶應義塾大学(清家篤塾長)と独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、命そのものである心臓が形成していく心臓発生の過程で、細胞内カルシウム放出チャネルであるイノシトール三リン酸受容体(IP3レセプター)が重要な役割を果たすことをマウスの胎仔を用いた実験で初めて明らかにしました。これは、慶應義塾大学医学部小児循環器研究室の内田敬子研究員、山岸敬幸専任講師と、独立行政法人理化学研究所脳科学総合研究センター発生神経生物研究チームの御子柴克彦チームリーダーらによる共同研究(以下、研究グループ)の成果です。
この発見は、小児循環器領域で遭遇する先天性心疾患の発症機序を理解するための一助となるだけでなく、発症の予防や再生医療を含む治療への応用につながることが期待されます。
本研究成果は、米国科学雑誌「PLoS ONE」(9月1日号)に掲載されます。
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2010/kr7a43000003e40q-att/100830_1.pdf
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2010/kr7a43000003e40q.html

2009年度 大学・研究機関 特許資産規模ランキング、広島大学が7位に急浮上(2010/5/31)
株式会社パテント・リザルトはこのほど、「2009年度 大学・研究機関 特許資産の規模ランキング」を集計いたしました(※1)。このランキングの特徴は、特許の注目度を指数化する「パテントスコア」を用いることで、単純な件数比較では見られない、質的な観点を取り入れた評価を行っている点にあります。各大学・研究機関が保有する特許資産の強さを、質と量の両面から総合的に評価しました。

 これによると、上位3機関は1位 産業技術総合研究所(産総研)、2位 科学技術振興機構(JST)、3位物質・材料研究機構(物材機構)と前年と同じでした。これらの機関は保有特許件数が多く、「量」の面で4位以下との差を付けています。ただし、1件当たりで見るとこれら3機関の得点は高くなく、注目度の低い特許も多いことが伺えます。
 最も順位を上げたのは、7位の広島大学です。同大学の保有特許件数は、137件と必ずしも多くはありませんが、質の面で得点を上げ、上位にランクインしました。同大学の注目度の高い特許には、「データの保持特性が高い半導体メモリ」に関する技術や「高効率のデータ圧縮処理」に関する技術、「癌細胞の増殖を抑制する方法」に関する技術などがあります。 
 このほか、10位の九州大学、17位の東京大学などが、昨年度から大きく順位を上げました。
 上位20機関中で1件当たりの特許資産の規模が最も高いのは九州大学、次いで、岡山大学、東北テクノアーチとなっています。

【大学・研究機関 特許資産規模ランキング】
下記URL参照
【大学・TLO 特許資産規模ランキング】
下記URL参照

(※1)【ランキングの集計について】
 特許資産の規模とは、各大学・研究機関などが保有する有効特許を資産としてとらえ、その総合力を判断するための指標です。有効特許1件ごとに特許の注目度を評価する「パテントスコア」を算出した上で、スコアの高低が明確になるように重み付けを行い、それに特許失効までの残存期間を掛け合わせて、各機関ごとに合計得点を集計しています。パテントスコアの算出には、特許の出願後の審査プロセスなどを記録化した経過情報を用いています。経過情報には、出願人による権利化に向けた取り組みや、特許庁審査官による審査結果、競合出願人によるけん制行為などのアクションが記録されており、これらのデータを指数化することで、出願人、審査官、競合出願人の3者が、それぞれの特許について、どれくらい注目しているかを客観的に測ることができます。2010年3月末時点において有効特許を1 件以上保有している大学・研究機関を対象に集計しました。
http://www.patentresult.co.jp/news/2010/05/20097.html

学部長取材(2010/5/26)
薬系進学2011で、薬学部長の増野匡彦先生に話を伺いました。
http://yakkei.jp/contents/links/keiou-p.pdf

グローバル臨床研究拠点の選定結果について (平成21年度グローバル臨床研究拠点整備事業)(2009/12/25)
 グローバル臨床研究拠点とは、革新的な医薬品等の国際共同開発を推進するため、外国の研究機関と国内の臨床研究実施機関との共同研究の実施及び連携を図るための実施支援体制を有する臨床研究機関です。
 今般、グローバル臨床研究拠点としての体制を整備する臨床研究機関を2機関選定しましたので、公表いたします。

 【選定結果】  北里大学臨床薬理研究所
           慶應義塾大学医学部

1 経緯
 平成19年4月に策定された「新たな治験活性化5ヵ年計画」のその他の課題のひとつとして、国際共同治験・臨床研究の推進における、障害の解消を掲げております。グローバル臨床研究拠点の体制整備を含む国際共同研究等の推進方策に関する調査研究(厚生労働省科学特別研究事業)によれば、その障害の解消には、国際共同治験・臨床試験を実施する組織、実施を支援する組織、実施に必要な人材を育成する組織を構築することが必要であると指摘されております。
 また、平成20年5月に行われた対日投資有識者会議における「対日直接投資の抜本的な拡大に向けた5つの提言」を受けて、国際的な治験の拠点となる医療機関を選定し、それぞれに国内外の協力医療機関が連携する体制を組むことにより、国際共同治験の推進に取組むこととしております。
 その具体策のひとつとして、革新的な医薬品等の国際共同開発を推進するため、外国の研究機関と国内の臨床研究実施機関との共同研究の実施及び連携を図るための実施支援体制として、グローバル臨床研究拠点を整備することとしました。

2 事業の概要 
 グローバル臨床研究拠点となる臨床研究機関は、国際共同治験・臨床研究を自ら行い、又は連携機関における研究の支援を行うための体制の構築及び維持に必要な事項として、下記の事項を実施することとしております。
      ・本事業を実施するために必要な要員の確保
      ・国内外の臨床研究機関の間の連絡・調整
      ・国際共同治験・臨床研究を実施又は支援するために必要な人材の教育・研修



     補助期間等 ・平成21年度より3年間(予定)。
              ・1から2機関を選定。
              ・1機関あたりの補助金額の上限は、2億円(平成21年度)。

3 選定の過程
・平成21年10月16日から11月6日まで、本事業の応募申請を受付け、21機関からの応募申請がありました。
・事務局で選定対象外となる申請機関を確認したところ、選定対象となる申請機関の候補は16機関でした。
・専門家、有識者等第三者により構成された、グローバル臨床研究拠点評価会議の構成員に事前評価をして頂き、評価会議を開催しました。

・評価の観点は、下記の通りです。
  [1]国際共同治験・臨床研究推進への貢献度
  [2]申請機関の実施体制、実績、計画遂行能力
・評価会議における評価の結果、グローバル臨床研究拠点としての
体制を整備する臨床研究機関を、2機関選定しました。
  選定結果 ・北里大学臨床薬理研究所
         ・慶應義塾大学医学部
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003c62.html

慶大医学部研究グループ 神経難病・多発性硬化症:『治らない』原因を特定(2009/1/10)
2008/12/23

慶應義塾大学医学部神経内科及び解剖学教室の研究グループ(鈴木則宏教授、相磯貞和教授、中原仁講師)は、神経難病・多発性硬化症に対する再生医薬開発研究に取り組んでいます。多発性硬化症では傷ついた神経組織(髄鞘)の自然修復が乏しく重篤な後遺症が残存しますが、本症において髄鞘の自己再生能力が低い原因は明らかになっておらず、その解明は新たな治療薬開発の鍵として期待されていました。今回、同研究グループは、多発性硬化症において髄鞘の自己再生能力が低下する原因を特定することに、世界で初めて成功しました。多発性硬化症の脳では病変部位に髄鞘再生を妨げるTIP30分子が過剰に発現していることを特定し、その分子機序を解明しました。原因分子及び分子機序が特定されたことにより、本症の新たな治療薬(髄鞘再生医薬)の開発が期待されます。
本研究成果は国際医学誌「The Journal of Clinical Investigation」誌2009年1月号(電子速報版:2008年12月22日付公表)に掲載されます。
詳細は以下のURL
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2008/kr7a43000000m67o-att/081223_1.pdf

東京都奥多摩町で遠隔予防医療相談システムの実証実験を開始 ~慶應義塾「コ・モビリティ社会の創成プロジェクト」の一環で実施~(2009/1/10)
2008/12/08

慶應義塾大学(以下 慶應義塾)は、同大学の「コ・モビリティ社会の創成プロジェクト」(担当責任者:金子郁容 慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科委員長、担当者:栗原毅 慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科特別研究教授(前 東京女子医科大学教授) 他)の一環として、日本電気株式会社(以下 NEC)、KDDI株式会社(以下 KDDI)と共同で、「遠隔予防医療相談システム」の実証実験を、東京都西多摩郡奥多摩町(以下 奥多摩町)の協力のもと開始しました。
本実証実験は、文部科学省 科学技術振興調整費における「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」により実施しており、最先端の情報・通信・移動体の技術を活用して、高齢化が進む地域におけるコミュニティ単位の予防医療を実現し、安心安全な社会創りを目指すものであります。

慶應義塾、NEC、KDDIは、本実証実験に向けて、コミュニケーション端末(ユニファイドコミュニケーション(R)対応型相談端末)・タッチパネル型端末・血液レオロジー測定装置(いわゆる血液サラサラ測定)・携帯電話・インターネット等を組み合わせた「遠隔予防医療相談システム」を新たに開発しました。本システムでは、地域集会所等に常設したコミュニケーション端末と都心部のクリニック・健康センターをネットワークで結び、地域集会所等で採血した血液のサラサラ度合いを都心から遠隔で診断したり、健康状態を定期的に管理し指導することで、住民の健康維持・向上や安心安全な町創りへの効果と有用性を実証します。
尚、血液サラサラ度合いがわかる動画を遠隔で住民と医師が共有するのは、世界初の試みであります。
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2008/kr7a43000000lbjw-att/081208_1.pdf

「世界を先導する知性の創造」を目指し、慶應義塾大学と包括的に連携 - 理化学研究所と慶應義塾大学が共に理念を掲げ、長期的な展望の下に基本協定を締結 -(2008/12/10)
◇ポイント◇
理化学研究所と慶應義塾大学は、連携・協力の推進に関する基本協定書を締結
人間知性の解明研究など学部・組織を横断した研究の実施、グローバルな人材育成のハブ機能の構築、資金調達に関する協力などを推進
 21世紀に入り早くも最初の10年が過ぎようとしている今日、前世紀の価値観を揺るがす事柄や、これまで予期し得なかった事象が社会問題化しています。今世紀を見据え、その先の将来を見通し、私たちやその子孫が持続的安定を享受できる社会を形成していくことは、人類に課された大きな課題です。
 現状を踏まえつつもこれにこだわらず、より高い価値の創出に向けて大胆かつ冷静に挑む姿勢こそが、社会のさまざまな問題を克服していく原動力となります。このような気概は、科学研究や学業においても重視されねばなりません。既存の学問領域や体系の枠を超えて自由な発想を尊重する文化を醸成するとともに、これを担う有為な人材を育成し、このような新鮮な知性と創造性の溢れる研究環境と人材を産み出していくことこそが、世界に貢献できる道であると両者は合意し、このたびの連携に至りました。
 慶應義塾大学(塾長 安西祐一郎)は、人文・社会・科学系から理工学系、医学系に至る広範な分野の教育、研究面で、理化学研究所(野依良治理事長)は、物理学、化学から、最近では脳科学、植物学など広範なライフサイエンス分野に至る基礎研究面で、共に日本、世界をリードしてきました。両者は長い伝統の中で、幾多の有為な人材を世に送り出し、世界をリードする数々の優れた研究成果をもって社会に貢献してきました。また、両者は数多くの先端的な共同研究のパートナーとして、優れた実績を残しています。
 このような両者が上述の共感を現実のものとするには、両者の持つ構想力、組織力を組み合わせ、それら能力を最大限に発揮させることが不可欠です。
 各々の組織が有するそれぞれの可能性を持ち寄ることで蓋然性が高められたら(「possibilityからprobabilityへ」)、との思いで両者は共感し、ここに、「世界を先導する知性の創造」を目指し、包括的な連携関係を構築することとしました。

1. 共に掲げる理念
 理化学研究所(以下、理研)と慶應義塾大学(以下、慶應義塾)という、異なった立場で日本を代表する二つの組織が、「世界を先導する知性の創造」を合言葉に、長期的な展望のもとに包括的な連携を行うのは初めてのことです。
 包括的な連携とは、双方の構想力と組織力を活かして、学問領域内の連携を超えて、総合性がもたらす新しい価値を創造することを目指す、奥行きの広い連携を意味しています。二つの組織の違いを互いにわきまえつつ、それを乗り越える相互理解と使命の共有を進め、果てしない知の限界に挑戦します。



2. 連携の柱と主な内容
融合的、革新的な共同研究の実施
(1) 人間知性の解明研究  [資料1]
慶應義塾: 医学部、医学研究科、文学部、理工学部、理工学研究科
理研: 脳科学総合研究センター

(2) マーモセットのゲノム解析と脳機能イメージング [資料1]
慶應義塾: 医学部、医学研究科
理研: 脳科学総合研究センター、オミックス基盤研究領域、分子イメージング科学研究センター

(3) ヒューマンマシン・インタフェースの融合研究 [資料1]
慶應義塾: システムデザイン・マネジメント研究科、理工学部、理工学研究科
理研: 脳科学総合研究センター

(4) 細胞スケールシミュレーション [資料1]
慶應義塾: 医学部、医学研究科、理工学部、理工学研究科
理研: 次世代計算科学研究開発プログラム、VCADシステム研究プログラム、脳科学総合研究センター

※その他の共同研究については、[資料2] を参照。

グローバルな人材の育成
(1) 連携大学院の設置
 両者は、博士課程の学生に我が国最高水準の研究環境と機会を提供します。2008年11月に慶應義塾医学部および医学研究科と理研(脳科学総合研究センター)との間で連携大学院を設置し、順次、ほかの学部、研究科にも範囲を広げ、研究領域を超えた、複数の専門領域を持つ人材を育成することを目指します。
(2) グローバルな人材育成のハブ機能の構築
 理研は、約200の研究機関と約220テーマで、世界中の研究機関と協力関係を構築し、多くの優れた外国人研究者が在籍しています。慶應義塾は、国際交流・連携活動を全学的に推進し、約200の大学・高等教育機関との協定の締結、900名を超える留学生の受け入れ、数々の国際的研究連携など、世界最高水準の教育・研究を展開しています。
 国際化を強力に推進する両者が連携することにより、両者が有するグローバルネットワークを格段に広げ、我が国に国際的人材育成のハブ機能を構築します。そして、既存の人材育成プログラムをフルに活用し、今後の社会の発展に貢献する優秀な若手人材の育成を目指します。
運営基盤の強化
(1) 教育・研究の資金調達に関する協力
 科学研究と人材育成への投資は、人類社会の持続的発展のために不可欠なものです。両者のポテンシャルを十分に活かすには、政府、民間など広くから必要な投資を得て、社会からの付託に応えていく必要があります。
 両者の協力によって実現する、世界を先導するような科学研究と人材育成の計画を、政府、企業、個人に提案し、より多くの方々に理解していただくよう努めるとともに、科学研究と社会との理想的な関係をデザインし、提案していきます。
(2) 事務部門の連携
 両者の強みは、さまざまな専門性を有する事務スタッフによって、教員や研究者の個人あるいはグループの力が組織化され、機動的かつ戦略的に組織運営がなされている点にあります。各々が有する知的財産創出・活用に関するノウハウ、国際化に関する実績などを共有して、さらなる組織力の強化を目指します。
 一方、世界を先導する学術研究機関の効率的運営のためには、改善すべき課題も多く認められます。さらなる発展的組織運営のために共同で事務局のリトリート(研修会)や、人事交流を実施することにより、事務部門の活性化を図ります。

[資料1]


1.人間知性の解明研究
 人間の脳に知性が宿った霊長類進化のメカニズム、その活動によって出現した文明の発展の様式と、それらの関係性によって立つ知的存在としての人類の「来し方行く末」を明らかにする。このため、政治・経済・社会・芸術などを担う 「心」の働き、つまり人間の個と集団の相互作用の生物科学的解明を進め、人間知性の未来を拓く新しい文理融合総合科学の創生を目指す。
慶應義塾: 医学部、医学研究科(岡野栄之教授)、文学部(渡辺茂教授)、理工学部、理工学研究科(伊藤公平教授)
理研: 脳科学総合研究センター(入來篤史グループディレクター、岡ノ谷一夫チームリーダー)

(研究テーマ例)
(1) 霊長類脳モデルによる人間知性の進化の生物学的解明
 霊長類の脳にヒト知的脳機能の萌芽を探り、人間知性の進化の要素を解明する。
(2) 人間知性の進化の比較動物認知科学的解明
 複数の動物の環境的知性から、人間固有の知性への進化の足跡を解明する。
(3) 文明環境が人間脳機能の発現に与える影響の生物学的解明
 構造としての都市環境や機能としての社会環境が、人間の脳と身体の進化に与える影響を生物学的に解明する。
(4) 人間に特異的な認知傾向の理解に基づく科学技術文明の構造の解明
 人間の生物学的動作特性に基づいて、社会構造の機能特性を解明し、未来技術を人間の本来の特性に調和した豊かなものにすることを目指す。


2.マーモセットのゲノム解析と脳機能イメージング
 脳の高次機能や脳疾患の分子メカニズムを理解するため、霊長類モデルとして注目されているマーモセットのゲノム解析とデータベースの構築、また脳機能イメージングを行う。
慶應義塾: 医学部、医学研究科(岡野栄之教授)
理研: オミックス基盤研究領域(林崎良英領域長)、分子イメージング科学研究センター(尾上浩隆チームリーダー)

3.ヒューマンマシン・インタフェースの融合研究
 情報化社会と認知機能解明の進展に伴い、今後、人間生活における新たなヒューマンマシン・インタフェースの重要度が高まる。このため、人と人のコミュニケーション環境、住環境、モビリティー環境における新たなヒューマンマシン・インタフェースを提案するとともに、これらが生活、文化、芸術などの人間活動に与える影響を明らかにする。
慶應義塾: システムデザイン・マネジメント研究科(前野隆司教授、小木哲朗教授、高野研一教授)、理工学部、理工学研究科(今井倫太准教授)
理研: 脳科学総合研究センター(入來篤史グループディレクター、谷淳チームリーダー)

4.細胞スケールシミュレーション
 細胞内の糖代謝、エネルギー代謝の変化などを実測データに基づき再現するシミュレーションの研究開発を行う*。さらに、肝細胞から肝小葉、肝臓など臓器シミュレーションに向けた挑戦や神経回路シミュレーションとの連携などへの展開を図る。
慶應義塾: 医学部、医学研究科(末松誠教授、安井正人教授)、理工学部、理工学研究科(柳川弘志教授)
理研: 次世代計算科学研究開発プログラム(姫野龍太郎副プログラムディレクター、横田秀夫チームリーダー)、VCADシステム研究プログラム(安達泰治チームリーダー)、脳科学総合研究センター(深井朋樹グル ープディレクター、臼井支朗チームリーダー、ディースマン マーカスユニットリーダー)
(阪大、神戸大、東海大などとも協力して実施。)
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/081210/index.html

植物タンパク質のリン酸化部位の大量同定に成功 -細胞の情報伝達の様子を詳細に観察する新技術、ヒトへの応用も -(2008/5/7)
◇ポイント◇
●シロイヌナズナのリン酸化部位を2,000以上同定、情報を公開
●植物もヒトと同様にチロシン残基のリン酸化制御を積極的に利用していることを発見
●ヒトや植物細胞の様々な情報伝達機構の理解促進に大きく貢献

 慶應義塾大学先端生命科学研究所(冨田勝所長)と独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、共同で植物の大規模なリン酸化部位の同定に成功し、植物でもヒト同様にタンパク質のリン酸化を積極活用している状態などを明らかにしました。これは、慶應義塾大学先端生命科学研究所の石濱泰准教授、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(菅野隆二社長)の杉山直幸研究員らの研究チームと理研植物科学研究センター(篠崎一雄センター長)植物免疫研究チームの白須賢チームリーダー、中神弘史研究員らによる共同研究の成果です。

 生物は、多種多様な方法を持って外界の変化に対応し、自身の生存もしくは種の保存を試みます。植物は動いて逃げることができない(移動手段を持たない)ため、自身の変化が生育環境の変化や病原体の攻撃から免れるための最大の手段となっています。外界の変化を特定の刺激として認識し、自身の変化を遂げる過程において、細胞内レベルでは、多数のタンパク質性因子が変化を導くための信号の受け渡し(シグナル伝達)を行っています。タンパク質のリン酸化は、シグナル伝達を行う際のバトンのような役割を担っており、細胞内でのリン酸化の状態を網羅的に把握することは、植物の柔軟な適応能力の理解に大いに役立つと期待されています。

 近年の目覚ましい質量分析計関連技術の発達は、タンパク質上のリン酸化部位の同定を比較的容易にしました。しかし、細胞粗抽出液のように非常に複雑なタンパク質集団のリン酸化部位を網羅的に解析するためには、まだ乗り越えるべき課題が数多くあります。本研究は、植物材料用にリン酸化タンパク質の精製・濃縮法の改良および最適化を行い、植物の細胞粗抽出液からタンパク質集団のリン酸化の状態を大規模に解析することに世界で初めて成功しました。その結果、これまで植物であまり注目されていなかったチロシン残基のリン酸化が予想外に多く起こっていることがわかりました。同定したリン酸化部位の情報は、世界中の研究者が自由にインターネット上で検索できるように慶應大先端生命研ペップベースおよび理研オミックブラウズ※1にて公開しています。今後、ますます深刻になっていく食糧や燃料問題の解決のために重要である、より優れた植物資源の研究開発に大きく貢献すると期待できます。

 この研究成果は、欧州の科学雑誌『Molecular Systems Biology』のオンライン版(5月6日付け:日本時間5月6日)に掲載されます。

1.背 景
 リン酸化は、植物に限らず、細菌からヒトに至るほとんど全ての生物種が細胞内シグナル伝達に使用しており、最もよく研究されているタンパク質の翻訳後修飾の1つです。近年、質量分析計関連技術の飛躍的な発展に伴い、細胞内のすべてのタンパク質(プロテオーム)のリン酸化の状態を網羅的に解析しようとするリン酸化プロテオーム解析がさまざまな生物種で盛んに試みられています。このプロテオーム解析の主流は、ショットガンプロテオーム解析※2と呼ぶ方法で、消化酵素「プロテアーゼ」が消化(分解)したペプチド断片の質量分析情報をもとにタンパク質を同定します。リン酸化されたペプチド(リン酸化ペプチド)の量は、リン酸化されていないペプチド(非リン酸化ペプチド)と比較すると圧倒的に少ないため、タンパク質消化物をそのまま解析する現在の技術では、目標とするリン酸化ペプチドはほとんど同定できません。したがって、リン酸化プロテオーム解析を成功させる鍵は、リン酸化ペプチドをいかに効率よく、かつ特異的に精製・濃縮することができるかにかかっています。
 これまで報告されてきた植物のリン酸化プロテオーム解析は、主に精製・濃縮技術が未熟なために、膜画分に含まれるタンパク質の解析など、あらかじめ測定試料の複雑性を下げたものを対象としたものに限られていました。そのため、得ることができる情報も限られていました。

2.研究手法
 慶應義塾大学先端生命科学研究所の石濱泰准教授らの研究チームが開発したリン酸化ペプチドの高性能精製・濃縮技術に基づき、慶應大先端生命研の研究チームと理研の植物免疫研究チームは、共同研究を展開し、植物の細胞粗抽出液からリン酸化ペプチドを精製・濃縮するとともに、リン酸化部位の同定を試みました。
 ショットガンプロテオーム解析には解析試料のゲノム情報が必要だということと、大量の均一な研究試料を容易に調製することができるという理由から、実験材料として、モデル植物であるシロイヌナズナの培養細胞を用いました。リン酸化ペプチドの精製・濃縮法には、ヒドロキシ酸修飾酸化金属クロマトグラフィー(HAMMOC:Hydroxy Acid-modified Metal Oxide Chromatography)法と固定化金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(IMAC: Immobilized Metal Affinity Chromatography)法を採用しました。
 具体的には、液体窒素で瞬時に凍結・保存したシロイヌナズナ培養細胞を破砕し、細胞回収時のリン酸化の状態を維持するために、脱リン酸化酵素の阻害剤を加えた緩衝液に懸濁させ、軽く遠心処理をして細胞破砕残さ(渣)を除いた細胞粗抽出液をリン酸化ペプチドの精製・濃縮の開始材料に使用しました。この細胞粗抽出液(タンパク質混合物)を、プロテアーゼであるLys-Cおよびトリプシンを用いて消化してペプチド混合物試料を得ました。次に、酸化金属としてチタニアおよびジルコニアを用いたHAMMOC法と鉄イオンを固定化したIMAC法を用い、リン酸化ペプチドの効率的な精製・濃縮の条件検討を行いました。精製・濃縮したペプチド混合物の解析には、微量なリン酸化ペプチドを効率よく検出できるように独自の工夫を施した液体クロマトグラフィー(LC)システムを、高速かつ高精度でショットガン式のリン酸化プロテオーム解析に適しているハイブリッド型イオントラップ-オービトラップ質量分析計(MS)※3に連結させたLC-MSシステムを使いました。

3.研究成果
 このように、最先端の精製・濃縮技術と質量分析計技術を活用することで、シロイヌナズナの細胞粗抽出液から、1,346種のタンパク質上に位置する2,172のリン酸化部位の同定に成功しました。最適化した精製・濃縮技術と質量分析計技術では、わずか100μgの総タンパク質量から400以上ものリン酸化ペプチドを同定することができるようになりました。ショットガンプロテオーム解析により、未分画の植物細胞粗抽出液からリン酸化部位をこのように大規模に同定したのは、世界で初めてのことです。この研究で、植物の細胞レベルでリン酸化がどのような現象に関わっているかのあらましを明らかにすることができるようになりました。
 植物のゲノム上には、ヒトが保有するチロシン残基を特異的にリン酸化する酵素が存在していません。したがって、チロシンのリン酸化の程度やチロシンのリン酸化制御の生命現象に対する貢献度はヒトと比べて低いと考えられており、これまでの植物のリン酸化プロテオーム解析では、チロシンのリン酸化はほとんど認められない状況でした。ところが、興味深いことに、今回、94ものリン酸化チロシン残基が、同定した2,172のリン酸化部位に含まれていました。リン酸化チロシンの割合はリン酸化アミノ酸全体の4.3%と少ないので、大した数ではないように見えますが、ヒトでのリン酸化チロシンの割合2~6%と比べると同程度の値になります。今回の発見は、生命現象におけるヒトでのチロシンのリン酸化の重要性を考慮すると、植物でのチロシンのリン酸化も同様に生命現象の大切な役割を担っていることを示唆していると思われます。
 世界中の研究者がリン酸化部位の情報を閲覧できるように、インターネット上で自由に検索できる慶應大ぺップベースおよび理研オミックブラウズ上に4月から情報を公開しました。

4.今後の期待
 本研究により、植物細胞内でリン酸化制御を受けるタンパク質、さらにリン酸化修飾が起こるアミノ酸の位置までが数多く明らかになりました。この情報資源が有用植物の開発推進に大いに役立つことが期待されます。

治験に関する包括契約締結(2007/9/18)
 慶應義塾大学医学部とアストラゼネカは、治験に関する包括契約を締結した。この契約は、アストラゼネカ社が慶應義塾大学に対して将来実施を依頼する全治験に関する全般的事項について包括的に合意するもの。治験ごとの個別契約は本包括契約の下に別個に締結される。
 慶應義塾大学医学部では,治験・臨床研究の活性化への取組みを始めたところであり、その一環として、本契約に基づきアストラゼネカ社と協議のうえ、同社の開発候補薬剤の早期治験実施を支援する。また、併せて治験の契約締結や遂行に要していた期間の短縮を図り、日本における臨床開発の早期開始と効率化に寄与したい考え。

花粉症の抗アレルギー薬が及ぼす副作用の一因を発見(2007/5/17)
 アレルギー性鼻炎や花粉症などの症状緩和に広く用いられる抗ヒスタミン薬は、眠気や集中力・記憶力の低下などの副作用があることが指摘されている。慶應義塾大学大学院21世紀COEプログラム心の統合的研究センターの渡辺茂教授と辻井岳雄助教は、光トポグラフィーという装置を用いて抗ヒスタミン薬を服用した際の脳血流の変化を測定し、抗ヒスタミン薬が脳の前頭葉の血流に強い影響を及ぼすこと、その影響が薬の種類によって異なることを世界で初めて明らかにし、前頭葉の血流の低下が副作用の一因となっていることを発見した。一般に、ある事柄を記憶したり集中するときは、前頭葉の血流が増加し、強く活動することが知られている。この研究結果は抗ヒスタミン薬の中枢神経抑制作用を解明する突破口として国内外の研究者から高い注目を集め、国際的な精神薬理学雑誌”Psychopharmacology”電子版に5月22日に掲載される予定である。

カラスの脳地図作成に成功(2007/5/10)
 カラスの脳は体重にしめる比率が極めて高く、10-13グラム程度であることは知られていた。しかし、どの部分が発達しているか等、詳細はあまりわかっていなかった。慶應義塾大学人文COEの渡辺茂教授・伊澤栄一准教授のグループは、世界で初めてカラスの脳地図を作成することに成功し、近年、「道具作り」や「欺き」などの霊長類に匹敵する知性が観察されてきたカラスの脳の全貌を、詳細にわたって明らかにした。本研究は、カラスの知性に関して脳科学的に貴重な知見をもたらし、ヒトを含めた動物の脳や知性の進化を解明する突破口になる可能性を持っている。
http://www.cirm.keio.ac.jp/db/bird_brain/

「細胞の頑強性」の定量的実証に成功(2007/3/23)
 慶應義塾大学先端生命科学研究所は、最先端のバイオ技術を駆使して、生物学史上最大規模の細胞分析実験を実施した結果、大腸菌の細胞内における振る舞い(代謝)を安定化するための様々な戦略を持っているという「細胞の頑強性」の定量的実証に成功した。
 これは当研究所が5年間独自に開発してきた先端技術を組み合わせて行った世界に類のない大規模な実験であり、今後はこの技術を医療、環境、食品分野に応用していくことになる。

バクテリアにデータを保存する技術を開発(2007/2/20)
 慶應義塾大学先端生命研究所と同大湘南藤沢キャンパス(SFC)らの研究グループはバクテリアなどの細菌類をデータの長期記録媒体として有効活用する新技術を開発することに成功した。
 研究グループは、情報をDNA配列に変換して合成した人工DNAを、枯草菌Bacillus subtilisというバクテリアのゲノムDNAの複数箇所にコピーして挿入する技術を開発。この技術では、保存した情報を読み取るときに、バクテリアの全ゲノムDNA配列からコピーされた同じDNA配列を「あぶりだす」ことができる。また、記録した情報が部分的に破壊されてしまっても、他のコピー配列から正しい情報に修復できるようになった。研究グループは実際に、1905年にアインシュタイン博士が発表した相対性理論の方程式にちなんで「E=mc^2 1905!」というデータを枯草菌に保存し、コンピュータシミュレーションを行って、新技術が世代を経ていくバクテリアに数百年から数千年もの間データを記録できる可能性を示した。
 なお、この技術成果は米化学会が発行する国際学術誌Biotechnology Progressの電子版に掲載され、現在までに多くの海外メディアから取材を受けている。

乳幼児の大脳発達過程を解明(2007/1/31)
 The Journal of Neuroscience誌(2007年1月10日発行)に慶應義塾大学文学部心理学専攻と国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所の共同研究の成果が発表された。この研究では日本語環境で育つ乳幼児を対象に、日本語に特有な母音の長さの違いを大脳がどのようにして受容していくかを、無侵襲な近赤外分光法(光トポグラフィー)を使って計測した。この研究は日本語に特有な音素体系を身につけていく際の脳の機能的発達過程を初めてとらえたもの。
 これにより、言語習得の過程の解明に役立つとともに言語発達において障害があった場合の機能的脳検査およびリハビリテーションへの応用の道を開くものと考えられる。
http://www.keio.ac.jp/
http://www.jneurosci.org/cgi/content/abstract/27/2/315?etoc

医薬品の副作用、リン脂質症のマーカー研究で提携(2005/2/14)
 慶応義塾大学発のベンチャー企業、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT社)は、医薬品の副作用を評価するマーカー探索の共同研究を、2月1日より三菱ウェルファーマと開始したと発表。

FDAが医療用漢方製剤のIND申請を受諾(2004/2/6)
 慶應義塾大学で漢方の研究を行なっている米国ミネソタ大学のグレゴリー・プロトニコフ助教授が、ツムラの医療用漢方製剤「ツムラ桂枝茯苓丸」について、FDAにIND(治験薬使用許可)の申請していたがこれを同日取得した。
 「ツムラ桂枝茯苓丸」の治験対象疾患を「更年期に伴うホットフラッシュ」とし、第II相臨床試験のステージから実施する。同助教授は慶應義塾大学医学部の渡辺賢治助教授とかねてから漢方に関する研究を行なっており、その過程で婦人科領域の漢方製剤に注目。米国での臨床試験実施を目指して準備してきた。今後、ミネソタ大学のIRB(倫理委員会)審査後、ミネソタ大学付属の臨床試験施設で治験が実施される予定。
 「ツムラ桂枝茯苓丸」は、日本では女性の更年期障害、月経不順、月経困難、子宮内膜炎、冷え症等の治療に使用されている。今回、特に「更年期に伴うホットフラッシュ」を対象としたのは、米国において更年期女性の多くがホットフラッシュを経験しており、更年期障害の治療の一つとして使用されているHRT(ホルモン補充)療法には副作用が懸念されているという。