諦めなければ夢は叶う


今年のゴールデンウイークは、世界卓球2018スウェーデンの熱い戦いに引き付けられ、最後までテレビに見入ってしまった。とくに女子の戦いはチームとしての一体感もあり、見ごたえのある試合が多かったように思う。強豪中国との決勝戦は、チームとしては負けてしまったが、第一試合でフルセットのうえ、逆転で勝利した伊藤選手の1勝の価値は大きい。伊藤選手個人の勝敗は、負けなしの8戦全勝と凄い結果を残しており、自信につながることは間違いない。

 なぜ、伊藤選手はこんなに強いのだろうか。まずはプレッシャーに強いということが挙げられる。誰でも緊張するとは思うが、ドキドキ感をワクワク感に変え、楽しみながらプレーをしている姿は、見ていても清々しい。楽しんでプレーをすれば冷静になれるし、普段以上の力を発揮することができる。勝ち負けは結果であり、納得するプレーができたかどうかが重要であるという考え方である。それが粘り強さにもつながっている。それに思い切りのよいスマッシュは、中国選手でも返すことができない。18歳という若さも力強いフットワークにつながっている。中国選手には、「リスクを負う覚悟がないと勝てない」と言うように、試合で常に攻撃的な姿勢でいることが強さの秘訣でもある。

そんな最中、大手製薬企業の武田薬品工業がアイルランドの製薬大手「シャイアー」を買収したニュースが報道された。約7兆円という巨額な買収に加え、買収した企業がされた企業より売上が少ないことが話題となっている。これにより、世界19位だった武田薬品工業は、10位以内に入り、海外売上比率も8割となり世界で戦う環境が整った。大きな賭けと思われるが、世界での競争に生き残り、成長するためのリスクを伴った最大の決断であったといえる。

 いま、2019年卒業・修了の薬学生にとっては、就職活動の真っただ中にある。しかし、薬学生の就職活動は、国家資格取得者の薬剤師職が売り手市場ということもあり、薬学生にそれほど必死さは見られない。就活生全体のアンケートでは、依然として安定・安全志向の学生が多い傾向にある。情報には敏感であるが、ネガティブな情報を気にして、すぐに諦めてしまう学生も増えている。社会や業界は大きく変化しているなかで、リスクを怖がらず、薬のプロフェッショナルとして大きな夢や目標に向かって最後まで貫きとおす、覚悟を持った薬剤師が求められている。I believe「諦めなければ、夢はかなう」。




斎藤由紀夫(さいとう ゆきお)
薬系キャリアコンサルタント
外資系製薬企業でMR、宣伝企画、教育・研修、プロダクトマネージャー、ヘルスケア、人事採用部門を歴任する。
その後大学院心理学研究科入学、修了後薬科大学に入職、キャリアセンター長としてキャリア・就職支援に携わる。
2015年に合同会社キャリアパフォーマンスを設立、イベント企画や研究会開催、講演、執筆などの活動を行っている。

戻る

トップページへ戻る