草加市立病院薬剤部  男鹿 宏和さん


がん薬物療法認定薬剤師

●薬剤部(調剤室)がお薬のコントロール・ステーション。

 薬剤部で、がん領域の仕事を任せていただいています。とくに抗がん剤治療される患者さんの安全管理に関わる仕事が中心です。
 各診療科にはがんを専門とする医師がおられますが、ご自身の専門領域以外では分からないお薬があります。医師にとって分からない薬があることは怖いものです。そこで日本で承認された状況や現場で使う時の注意点などの情報を提供して、初めてお使いになる先生でも処方できるようにサポートします。
 「新薬はよく分からないから使わない」と考えるのではなく、新薬の登場で恩恵を受ける患者さんがおられれば適性使用により提供しなければなりません。そのため新しい薬が登場すると、複数の診療科と共同で勉強会を開きます。それは認定をもつ薬剤師の責務と考えています。
 調剤室でお薬の動きをみていると、各診療科でどんな薬が使われているか分かります。調剤室で気づくことがあれば電話して病棟薬剤師をフォローします。とくに経験が浅い薬剤師には、どこに注意し、何を確認すべきかをアドバイスして安全性を高めています。

●意見を言う薬剤師が、患者さんの治療に貢献。

 私が薬剤師になった15年前と比較すると薬剤師の仕事は格段に変化しています。薬剤師もフィジカルアセスメントをやりなさい、薬剤師も患者さんの身体情報をとりなさいという時代です。
 私は薬学部から大学院に進学(当時は4年制)し、期間中カリフォルニア州立大学(UCSF)でも学びました。臨床薬剤師に関する業務を学び、がん領域に携わる経験もしました。日本では医師の指示のもと専門職が動きますが、米国の薬剤師は医師の処方にサジェッションし、薬の専門家・薬剤師の意見を主張して医師と協議する環境があります。
 そんな経験から処方が出てからでは後追いになると考えました。医師が処方せんを出す前に薬剤師が意見を出し、改善できるように提案しています。日本も薬剤師が積極的に医師をサポートできる時代になりました。
 とくに薬剤師による副作用発見が患者さんに利益をもたらすことが分かり、外来に薬剤師を配置する病院が多くなりました。薬剤師外来は、プライバシーを守るため診察室の設置が必要です。草加市立病院でも薬剤師外来の部屋を一つ確保できましたので薬剤師の活動の範囲がさらに広がると思います。

●多職種とのコミュニケーションは重要。

 調剤室でお薬の動きをみていると、各診療科でどんな薬が使われているかが把握できます。
 一方、カルテの確認など調剤室では分からない時は病棟に出向いて確認し増す。
 調剤室で気づくことがあればすぐに電話して病棟薬剤師の活動をフォローします。とくに経験が浅い薬剤師には、どこに注意し、何を確認すべきかをアドバイスして安全性を高めています。
 とくに病棟薬剤師は、病気をみるのではなく、患者さんをみる心構えが大切です。
 患者情報を得るには、看護師と情報を共有化することも大切です。看護師のほうが医師よりも多くの情報をもっています。そのため病棟薬剤師は、朝の看護師のミーティングに入って患者情報をとってくる必要があると考えています。スタッフ間のコミュニケーションがとれていれば信頼関係を築くことができ、看護師などから相談を受ける存在にもなります。
 薬剤師が積極的に他職種のスタッフとコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことは大切なことと思います。

●調剤薬局との連携、相互理解も重要。

 病院だけでは患者さんの治療を完結することはできません。
 患者さんが退院して自宅療養(外来)に移れば、調剤薬局との連携も必要になります。
 しかし在宅医療について知識をもつ病院薬剤師は少ないと考えられます。私は、在宅医療について学ぶため在宅医療に取り組む調剤薬局に転職しました。
 病院薬剤師の在宅に関する知識が乏しいように、薬局薬剤師も病院の業務を正確に理解できないと感じました。
 今後、地域包括ケアを進め、患者さんの治療に貢献していくには病院と薬局の両方の業務を理解していることが重要と考えています。

●臨床の第一線に出てからが勉強です。

 現在はがん薬物療法認定薬剤師ですが、その知識を活かすには、がん周辺領域の知識を固めなければと考えています。とくに感染症や栄養管理などの知識が重要ではないでしょうか。
 将来的にはがん専門薬剤師の取得を目指しており、がん専門薬剤師の審査には論文2報の提出が求められます。
 臨床で研究したことを対外的に発表しなければ内部だけの知識で終わります。しかし臨床研究や学会発表のために書く論文は治療の発展につながり、同時に学会への参加は医療人として刺激を受ける機会でもあります。
 私が薬剤師職をスタートしたのは、研修医をたくさん採用している病院でした。研修医を受け持つ先生に研修医と共に教えていただき、これは経験を積む上で大きかったと思います。多くの経験を積むには中堅以上の病院に就職すること。また勉強できる環境も必要です。
 薬剤師はやり甲斐のある仕事です。患者さんの治療に貢献するため、さらなる勉強が欠かせません。

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