株式会社日立製作所 日立総合病院


株式会社日立製作所 薬務局薬局長 青山 芳文先生

 挨拶を交わすと青山先生は「私たちはワークライフバランスを意識しています。10日間の夏休み制度がとれるようにしていますし、育児休暇制度も導入しています。10日間の休みを余暇に使う人、がん認定薬剤師をめざす人はASCOに参加して勉強するなど、それぞれの目的の為に利用しています」といきなり薬剤師さんの働く環境について話しが始まった。患者さんだけでなく、働く薬剤師さんの働く環境を改善して安全第一を目指しているようだ。
 取材するとこの病院は、一般的な薬剤師の仕事のイメージを越えている。例えば救急救命センターでは、医師の指示のもと処置中の患者の患部に触れてフィジカルアセスメントしたり、治療の補助も行う。また1994年からファーマシューティカルケアプランを作成して臨床薬学の醸成に努めてきた。2012年医政局通知により、今まで作成してきたファーマシューティカルケアプランをプロトコールと位置づけ医師オーダサポート業務を展開している。年月をかけて医師との信頼関係を築き、オーダーサポート業務が定着したのである。かつてUSCで学んだとき、青山先生は将来の日本もこうなると確信して体制づくりをしてきたという。
 青山先生は「オーダーサポート業務は、薬剤師が薬物療法の提案や疑義照会の際に、医師の指示に基づいて処方・注射・検査をオーダする取り組みです。医師が手術中でも病棟の患者が危険な状態になるかもしれません。私たちは、患者が危険な状態になれば医師に電話をいれます。医師は薬剤部の電話に必ず出て報告を聞き、指示を出します。指示を病棟の薬剤師に伝えて対応し、さらに看護師に指示するという流れができています」という。
 このスペースでは、紹介が難しいので、薬剤部が行う様々な取り組みについて、写真説明をしながら紹介した。

株式会社日立製作所 薬務局 情報管理係主任 齋藤 祥子先生

 日立総合病院では、新人薬剤師を就職直後から病棟にあげて、年齢の近いチューターが指導者となり指導や相談に応じる。個人の成長と組織の成長を達成し、急性期から在宅まで地域医療への貢献を図っているのだ。しかし経験豊富な薬剤師でも病棟の患者の急変など対応が難しいケースもある。そんな時に、オーベンに連絡して指示を仰いでいる。オーベンを努める齋藤先生に話しを伺った。
 「私たちがやってきたことが認められ、医師と薬剤師の信頼関係が作られています。医師は私たちのフィードバックを受け入れる体制となっており、それだけに薬剤師には責任があります。業務を始めた頃は、本当にこれでいいのかと心配で毎日病棟をみていたくらいです。その経験から、若い薬剤師さんが報告する患者の状態を聞くと、様子がつかめるまでになりました。どの科でも何でも聞いてもらい、私のアドバイスを得て医師にお話しする仕組みにしていますので、医師にはブラッシュアップされた情報が提供されます。薬剤師がそれぞれの業務に対応していると責任や負担が大きくなります。次の日の業務に影響が生じるため定時に仕事を終わらせ、残業を減らしたいとワークライフバランスを重視しています。
 また電子カルテは15年くらいかけて開発したものです。情報業務は地味な仕事ですが医療安全は重要な仕事です。レジメンを作るには現場が分かった人が作る必要があります。そのため新人薬剤師には現場をたくさんみてもらうため入社後すぐに病棟で勉強してもらっています」と齋藤先生。

株式会社日立製作所 日立総合病院の概要(2016年1月現在)

○所在地 茨城県日立市城南町二丁目1番1号
○病床数 543床(一般:539床(内 茨城県地域がんセンター 100床)
     感染:4床)
○職員別 医師118名、歯科医師2名、看護師459名、薬剤師32名、
     放射線技師33名、検査技師45名(2015年4月現在)
○患者数 入院患者385人/日、外来患者1,018名/日(2014年実績)
○診療科 32科
 内科、消化器内科、呼吸器内科、血液・腫瘍内科、代謝・内分泌内科、循環器内科、腎臓内科、精神科、神経内科、緩和ケア内科、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺・甲状腺外科、泌尿器科、整形外科、形成外科、皮膚科、脳神経外科、小児科、新生児科、産婦人科、耳鼻いんこう科、眼科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、病理診断科、臨床検査科、救急科、歯科、歯科口腔外科

株式会社日立製作所 日立総合病院・薬剤部の概要

○薬剤部の業務
・調剤 外来、入院、調剤薬の補給管理・品質管理、統計と調査
・製剤 一般製剤、滅菌製剤、無菌操作製剤、特殊製剤、PET業務
・薬品管理 品質管理、経済管理、購買管理、在庫管理、供給管理、麻薬及   び向精神薬管理
   採用薬品数 採用薬1,934 限定採用薬463 合計2.397
   2016年1月現在
・治験管理 「医薬品臨床試験の実施に関する基準(新GCP)」による治験
   「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」による臨床試験
   「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準(GPSP)によ   る市販後調査
・医薬分業(院外処方箋の発効) 
   診療科別に段階的に院外処方箋を発行、面分業・かかりつけ薬局   を目標とした分業、医薬分業による効果(院内)

・地域連携 日立薬薬薬会議、服薬モニタリングレポート、県北薬剤師勉   強会(年12回)
・入院薬剤管理指導/543床認可
 注射個人別セット、薬歴管理、医薬品情報の提供、配薬準備業務
・外来薬剤管理指導係 薬剤師外来、外来化学療法室
・薬剤情報関係 医薬品情報の収集、評価、提供

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